violet shaking | ナノ


 


 mission.01



「ちょお、顔貸してほしいねん」

『……何で?』

「ええから早よ来い言うてんねん」

『ちょ、ちょっと蔵!』





violent shaking
mission.1 告白





今日俺は一大決心をした。

1年と3ヶ月の片想いに終止符をつける為に。



『ちょっと蔵、待ってよ!』

「…………」

『痛い痛い!腕が痛いから!』

「え、あ…堪忍…」



4限のチャイムが鳴り昼休みを知らせると俺は名前を部室前まで連れて来た。

今から告白するんや、いっぱいいっぱいやった俺は名前が叫ぶまで自分の力加減に気付く事なんかなくて、彼女の真っ赤に染まった俺の手跡に罪悪感が吹き上がる。



『あー痛かった…なんなの一体』

「だ、大丈夫か?」

『大丈夫な訳ないでしょ』

「……悪い…」

『で?』

「え?」

『え?じゃない!こんな所まで連れて来て何の用かって聞いてんの』

「あぁ……」



痛そうな左腕をプラプラさせながらふんぞり返る名前を前に、俺の頭は軽くパニックやった。

どないしよ、何て言うたらええんやろか…



『何も言わないならアタシ帰るよ。お腹空いてんだから』

「は、ちょお待てや!」

『じゃあねー』

「っっ、好きや!」

『――――』

「俺と付き合うて欲しいねん」



ああ…言うてしもた。

もっと色々言う事あったのに、急かされてこの様や。
まぁええ、後は名前の答えがイエスである事を祈るだけや。



「名前……?」

『えー……』

「は?」



コイツ今、めっちゃ真剣に言うてる俺にえー、とか言うた?

一世一代の告白や言うのになんやねんそのめっちゃ面倒臭そうな顔……!



「お前、えーってなんや…」

『だってアタシと蔵が付き合うってあり得なくない?』



っっ!
この女何様や!

フるにしたってもうちょっと違う言葉があるやろ!
“気持ちは嬉しいけどごめんね”
とか普通そう言わへん?言うやろ!

大儀そうに頭を掻くコイツ見ると頭の中で何かがプチッと切れる音がした。



「お前の気持ちはよぉ分かった……」

『本当?じゃあアタシ帰るね「待ちや」』

『まだ何かあるの?』

「1週間」

『え?』

「1週間俺に付き合え。何が何でも落としたるわ」

『は……?』

「お試し期間っちゅうやつや。俺をフった事、痛い程後悔させたる」

『や、ちょっと何勝手な事、』

「楽しみやなぁ、俺を好きやって言う日が来るんが!」



こうして俺の頭が痛くなるような告白は幕を下ろした。

明日から1週間。
激動の日々が始まる。


……っちゅうか何でこんな女に惚れてしもたんやろ…





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