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 02-1


「あれ、無い、無い!」

『名前?何が無いん?』

「蔵に借りてたペン、無くて…筆箱に入れたと思ったのに」



昨日スコアを書く時に借りたペン。
返そうと思って筆箱に入れておいたはずなのに、無い。

どうしてアタシってこうなの!



『そんなんいつでもええよ。なんならずっと持っときや』

「駄目だよーちゃんと返すから!でもおかしいなぁ、入れておいたんだけどな」

『名前はおっちょこちょいやからなー、ククッ』

「わ、笑わないでよ」



でも、それならどこに入れたんだろう。
……確かに、筆箱に入れた。入れたよね?

え…でも本当にそうだった?
入れてない、かもしれない…



「…………」

『どないした、黙りこんで』

「――う、ううん!なんでもないよ!」

『ならええけど。あんな、明日部活休みやしデートせえへん?』

「で、デート!?」

『うん。休みでも、名前に会いたいし、』



うわー…
休みでも会いたい、だって!
嬉しい嬉しい、嬉しいよお!
アタシだって会えるもんなら会いたい!



「うん、うん!遊びたい!」

『ククッ、そんな気合い入れて返事せんでも』

「!!」



笑われた…やだ恥ずかしい。
アタシ1人舞い上がってるって感じ?

すると、蔵はアタシの頭をくしゃくしゃ撫でて、



「、わっ!」

『そうゆう素直なとこ、好きやねんけどな』

「…は、恥ずかしいよ……」

『そうそう、そうゆうとこ』

「!!」



そんなこと言われると迂濶に喋れなくなるじゃない。

でも、蔵と話してるとポカポカする。居心地いいんだ。




  □




「さぁドリンク作んなきゃ」



明日はデート。それを楽しみにしながら今日もマネージャーを頑張ろうと思って。

ドリンクの素となる粉末を手に取ってペットボトルに入れようとした。



「、あれ…?」



水って、どれくらい入れるんだっけ?

いつもどうやって作ってた…?
分からない…



「…………」

『名前先輩、』

「!!」



ペットボトルを持ったまま考えこむアタシの元に光君がやってきた。

ドリンクの作り方が分からないだなんて、言えない…



『まだドリンク出来てないやん。メニュー終わったし俺手伝いますよ』

「あ、うん、有難う…じゃあ、水入れてくれない…?」

『了解ですわ』



粉末を入れたペットボトルを渡すと、光君は水を入れてくれた。

アタシが作り方分からないことに気付くこともなくって、ホッと溜息をついた。


ペットボトルいっぱいいっぱいに注ぎ込まれる水。

そうだ…水は満単入れるんだった…
どうして、分かんなくなったんだろう………
アタシ、おかしい。



『これで終わりやな、ほな持って行きましょ』

「う、うん。手伝ってくれて有難う…」



アタシどうかしてる。

疲れてる、のかな……



その後は何も問題なく部活は終わった。





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