リーダーはそのままソルベに抱かれるジェラートの所に行き、ひょいっと持ち上げた。ジェラートはちっこいナリで「よぅ」と挨拶をして「悪い。しくった」短く言った。

「ていうかぁ、リーダー似合い過ぎっすね」
「ま、年齢的にもガキ居ておかしくねぇからなぁ」

高い高いをするようにジェラートを持ち上げながら「見晴らしはどうだ?」とか「小さくなった感想は?」なんて聞いている。やぁ、さすがに天然さんですな。話の焦点そこじゃねぇっての。

「リゾット、落ち着いてくれ」
ジェラートが自ら説明をはじめ、きっと効力的にはやがてきれてもとに戻るだろうからそれまでわりぃが戦力から外してくれ、と簡単に説明した。

おおお、やっぱり
「見た目は子供、頭脳は大人!」
あたしは言ってしまった。なんか感動しますね。小さな子供が理路整然と話したりすると。ま、子供らしくないっすけど。パチパチと手を叩いて感動を表していたら
「それ以上無駄口聞いたらその耳飛ばすぞ」
ジェラートが笑顔でいった。
「ぅえーい、ジェラちゃん怖ぁー…」
ヒュンっと私の右耳のすぐそばをナイフが風を切って飛んでいった!アハッ!これって、ジェラートさんお得意のナイフだね!張り付いた笑顔のまま、あたしは幾束かハラリハラリと落ちる髪をみた。子供なのに20cm弱のナイフ、どこに持っていたんすか!
「ジェラさんあぶなっ」
「うっさい黙れ」

や、これ本気ですな。本気の調子だ。ソルベが止めないもの。
あたしたちを黙らせたジェラートはリゾットに何かを話てた。

あたしたちは面白がっていたけれど、そりゃあジェラさんは不安でしょうな。自ら戦力外通告をしたなんて、場合によっては死のFA宣言だもんなぁ。

「やぁ〜…、はしゃぎすぎました。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げたら横に居たホル兄さんも「悪気あったわけじゃなくてよぉ」と頭をかいてた。
メローネは「ジェラートかわいい」なんてまた笑ったけど、ギアッチョは舌打ちしてから「もの珍しくてな」なんて苦々しい言った。

そんな私たちを一瞥してソルベに手を伸ばしたジェラートはその短い腕でソルベの首筋を抱いた。そのソルベがリゾットと何かを話ながら、リーダーの部屋へ向かい残されたあたしたち4人はしばらく黙っていたけれど

「夕飯、どうしよ」
メローネが呟いたら
「子供用のを1つ用意しとけよ。要るっつったら出してやれ。さっきジェラートがチョコ食ってたから味覚はガキんちょになってんだろうが、ま、プライドの問題だな」
ホル兄さんが答えてた。兄さんすごいね、よく見てるね。そんなこと考えられるなんて、やっぱり面倒見がいいんすね。見上げながらあたしにもできることないかな、考えたら

「あ!あたしのアイスをデザートにあげてもいいっすよ!」

冷凍庫の半分以上をしめるファミリーサイズのバニラを思い出した。いつもあたししか食べないけど、きっと子供なら食べると思うんだ。

「ミルクの賞味期限、ちゃんと見てからあっためてやれよ」

この前切れてたからな、ギアッチョがメローネに言ったら「了解した」、メローネが口の端を楽しそうに上げて言った。


::::::::::

リビングですることもなくウダウダとテレビみながら夕飯を待っていると、やはりバタバタとした足音が廊下から響いてきた。ここを暗殺チームのアジトっつったヤツすごいすね。どうきいたって熱血サッカー少年の寮のようだよ。

キッチンでジャガイモの皮をこれでもかと剥いていたメローネとあたしは視線を合わせてからそっちをみた。てか、…メローネ似合わないねぇその姿。ま、そっちの突っ込みは後回しにしといて。

バタンと開かれたドアからジェラートが飛び出してきて叫んだ「ニナ!」。
フオォ!何!?あたしモテ期!?いきなり抱きついてきたジェラートを受け止めて抱くとジェラートがそのクルクルした瞳を私に向けた。ザッツ無邪気!あの犯罪者だってみんな子供だったんだ!

「ニナ、3歳だって立派な大人だよな」
ペタペタと小さな手であたしの顔を叩いて、きっと低く言いたいんだろうなって思ったけど、かわいい声で言った。

「3歳だって、立派な人間だよな」
「いやぁ〜…、人間かと言われれば人間だけども、ジェラさん、大人ってのは…」
「人権は認められてるもんなッ!」
「もちろんすよ!」

なんだこの会話!ジェラートどうしちゃったの!後ろからのっそりやってきたソルベがあぁとか唸りながらソファに腰をかけた。

「…これは?」
「仕事」
「は?」

その内にリーダーがやっぱりのっそりやってきてソルベとおんなじように「うぅ」とか唸ってソファに腰かけた。

「仕事?」

ジャガイモの皮を剥くのを飽きたのかメローネがやってきて首を傾げた「戦力外だって言ってなかったっけ?」。

「もとより立て込んだ仕事じゃなかったから、いいと言ったんだが」
ソルベが頭を抱えながら言った「なぜか急にやる気をだしてな」。
「はぁ」
「スタンドも使えないのに仕事をさせるわけにもいかない、と言ったんだ」
リーダーが付け加えた。まぁそりゃそうっすね。こんな子供を現場に出したらそれこそ笑い種でしょうよ。
「だがジェラートのスタンドは先天性のモンらしくてよ」
リーダーと交互にソルベが言った。
「先天性?」
「確かに昔言ってたんだよ。物心つく前からジェラートの家の窓にゃあガラスがなくって、ムカつくヤツは耳と鼻から血を流して死んだって」
「どういうことすか?」
「先天性のスタンド使いらしいんだ」
はぁ、とリーダーがため息をついた。

「つまりはこのナリでも十分働けんだよッ!」

フハハと不敵にジェラートが笑った。あたしの腕の中から飛びだすとソファの上にたちあがる。その後ろにはスタンドが姿を表した。
ジェラさんのスタンドをよく知っているわけじゃあないけれど出現した途端、みんなが耳を抑えた。聴覚に強烈なダメージを与えて鼓膜から、果ては脳細胞にまでこだまさせる超音波のような特殊な周波数を使い、人体を操り死にまで至らしめる、と簡単に聞いた事がある。スタンドがまるで吼えるように口をあけた。ガタガタと窓が鳴った。ビリビリと空気が動く。
これなら近づかずとも大人数相手だろうとも、このスタンドなら、そりゃあいける。けど!!

「ちょちょちょっ!さすがにここでは止めてくださいぃ!」
「テメェらガキと思ってバカにしやがってぇ!」
「してねぇだろうが!落ち着け!」

ソルベが言うけどジェラートは聞こえていないようでにスタンド能力を解除しようとしない。ひいぃ!完璧に逆上ってヤツじゃない!?聴覚失いたくないよ!耳をおさえたって超音波じゃ意味はないけど、押さえずにはいられない!脳に直接刺さるような、キンキンする痛みが大きくなってきた!

でもあたしには習慣があった!そう、子供が暴れた時って、規模は全然違うけど、小さな子が怒って手がつけられなくなった時って、そう確か


「誰もバカになんかしてない!!」

ジェラートを覆うように上から抱きしめてあげた!ぎゅううっと背骨が軋むんじゃないかってくらいに!力でねじ伏せてしまうのは簡単だけど、それじゃあ意味ないもん!ぎゅううっとしぼるように抱いてみた。昔取った杵柄ってモンが効くかわかんないけど、あたしの家族は大体これでおさまりましたよう!あぁでも!まだエコーが!頭が割れるみたいにエコーが、 あ、あ、れ?
しない?

気がつけばスタンドは消えていた。ありゃ、いつの間に。腕の中のジェラートを見ると、びっくりしたように目を丸めてる。状況がわかってないって感じだ。
「…ジェラさん」
もう1回、また抱きしめてみた「大丈夫すよ」、「怖くないすよ」頭や背中を撫でてみた。

耳を塞いでいたみんながその手を離して、こっちをみた。あたしは腕の中の小さな体を少し離してその顔を覗き込んでみたら、バツが悪そうな顔をしながら、うつむいていた。

「ジェラさん?」

しずかに聞いたら、聞き取れるかとれないかの小さな声で「…わりぃ」と言った。あぁかわいいなぁ。やっぱりこの方法は有効なんだなぁ。
へへへと笑ってみせて「誰もジェラさんのこと、バカになんてしてないっすよ。心配なんです」、そう言ったらジェラさんが私の服の裾をぎゅうっと握って「悪かった」、そうまた呟いた。


「アハハ!ジェラさんかわい!」
またぎゅうっと抱いてみたら今回は大人しく腕の中に収まってくれずに押しのけるように暴れたけれど、それからのジェラさんはあたしから離れなかった。ふふふ、ソルベになんだか勝った気分がしたけど優しいあたしは言わなかったすよ!

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