起 「ギャハハハハ!」 ソルベが困惑している間に私は腹を抱えて笑った。あはははは!なにそれ笑える!笑えるくらいかわい! 「笑うなよ。スタンド使いによるもんなんだから」 「ざっくりした説明すね!まぁいいけど!アハハハハ!」 私はとにかくソルベに抱かれているジェラートをみて笑った。アハハハ!プニプニしてる!ほっぺをつついてみた。やぁ面白い。 「ジェラートちゃんもかわいかったのね〜」 「やめろよぉ!」 「うは!高い声!」 きゃーかわいい! 「ソルベ私にも抱かせて!」 「だめだ。ニナは落ち着きがないから落としそうだからダメだ」 「落とさないからー!いーじゃーん!」 ソルベがかかえる相手のスタンドで3歳児になってしまったジェラートをみた。あの凶悪犯罪者がこんなかわいいなんて!でもジェラさん自身はもとよりかわいいのだから、そりゃ子供だったら余計かわいいのだ。 リビングでギャアギャア騒いでいたらホルマジオが入ってきて「うわ、めんどくせえのが居やがる」、口でいうくせに顔は笑って言った。 「兄さん兄さん、ジェラちゃんかわいくない?」 「マジだなー、いやぁ、ジェラちゃんどうしてあぁ育っちゃうのかね」 ホル兄さんに近寄ってみた。スロット帰りかな?紙袋をソファテーブルの上に置いてジェラートをみてる。 「ジェラート、お前本当にかわいいなぁ」 「うるせえなぁ、あんまふざけたこと抜かすとぶっ飛ばすぞ」 「やぁ、かわいい!」 もっと言って!とジェラートをつついたらその可愛らしさ満点の顔を歪めてソルベに抱きついてた。短い手にふっくらした体。いやぁ、子供なんて久しぶりにみたわ。 「で、どうすんのコレ」 ソルベに聞いたら、やっぱりソルベは困惑していて「どうしようもねぇだろが」。 「ソルベが面倒みんの?」 「オレだって仕事もあるしからな」 ううんと唸ってジェラートをあやすように揺さぶった。ジェラートは多分無意識に指を噛んで、ソルベに寄り添うようにしていた。 「さしずめ、兄さん、あたしたちに出来る事はなんすかね?」 「なんだろうなぁ、あ、腹減ってねぇか?」 テーブルに置いた紙袋をガサガサあさって、チョコバーを差し出した。それは毎度ホル兄さんが私にくれるスロットの景品の駄菓子じゃあないっすかぁ! 「あ、あたしの分は!?」 「ちったぁ我慢しろよ。ちっこいのがいんだから」 いやぁぁ出来ない!大好きな糖分を! 「あ、でも、ジェラートあんまり甘いもの好きじゃあ…」 期待を込めて見たら、ホル兄さんに剥いてもらったチョコバーを一生懸命にほおばっているじゃないの! 「ノォォ…!」 さすがの食い意地がはったあたしでも子供からは取り上げらんないっすよ…! 悶えるようにホル兄さんの足元に倒れこんだら「しょーがねぇなぁ〜」といつもの調子の声が聞こえて、そして、おんなじチョコバーを「ほい」っと投げて寄越された。 あぁあ、やっぱホル兄さん好き! ラッピングを捲りながら兄さんをみると、チョコを食べて大人しくなったジェラートをソルベから受け取って抱きかかえてた。なんか、似合いますな。兄さんと子供、似合いますよ。 「ホルマジオ、タバコくせぇ!近寄んな!」 「アッハッハ!ひでぇなぁ!そんなワガママっこには、オラっ!」 天井目掛けてちっこいジェラートを投げた! 「ぎゃあぁぁ!」 ジェラートの絶叫がリビングにこだましたけど、受け止めて、さらにもう1回投げたホル兄さんは至極楽しそうに笑っていた。 兄さん子供好きっすね。やっぱりなんだかんだ言ったって面倒みてくれるもんね。ちゃんと子供が楽しむコツ、知ってんだよね。 チョコバーをかじりながら見ていたら、ソルベがすごい勢いでジェラートを取り返してた。ジェラートは少し震えながら、涙目になってソルベにくっついた。 「…兄さんやりすぎっすよー」 「そうかねぇ、外でやると案外ハシャぐもんなんだが」 天井が低いからか、怖いか。一人納得したようにつぶやいて、その赤毛をかいていた。あぁジェラートじゃなくてあたしが3歳児になればずっと兄さんと遊んでいられるのになぁ!ずるいずるいジェラートずるいなぁ! 兄さんから貰ったチョコバーをかじって、またジェラートをみた。 「…プ」 プププ、ごめん、やっぱり面白いすわ!アハハハハ! 「笑うんじゃねぇよ」 すごむようにジェラートは言うけど、でもそれすらも今はかわいいだけですよ! 「ジェラちゃんかわいい!やっぱり抱かせて!今なら出血大サービス、おっぱい触ってもいいよ!」 「うるせぇ!テメェのえぐれた乳になんか興味ねぇよ!」 「ひどっ!えぐれてなんかないすよ!」 「うっせぇ!貧乳!まな板!」 「あ!本当は寂しいんでしょ!」 「あぁ!?」 「さぁ!おいでなさい!」 バッと腕をひろげたら 「ソルベに抱かれてた方が遥かにマシだ!」 甲高い、舌足らずにジェラートさんがさけんだ!あぁかわいい!やっぱり抱きたいな!チラッとソルベに目配せしたら 「絶対ダメだ!」 エラい勢いで怒られてしまった。 「ちぇー」 口を尖らせた。いいじゃんいいじゃん。あたし抱っこ得意だよ?がっかりだなぁ。 「抱っこしたーい」 「案外子供好きだな」 つぶやいたらホル兄さんに拾われてた。 横にいた兄さんを見上げた。 「兄さんほどじゃないっすけどねぇ、あたし一応大家族なんで」 「あー、そういや施設育ちっつったか」 スタンド能力買われてこの世界に居ますけどね、基本的に人間は好きっすよ。 へへへと笑ったら「ま、人生ままならねぇってヤツだよなぁ」なんてノンビリ言ってた。あたしはホル兄さんみたいに純粋に子供好きじゃないんすよ。仕方なく面倒みてたってのもあるし。でも、やっぱりかわいいなぁと思いますから、ね。子供好きすよ。 「いやぁ、しかしジェラちゃんがこんなにかわいいのは予想外でしたねぇ」 「どうすんのかねぇ」 「どうすんでしょうねぇ」 ホル兄さんと話をしてたら、バタバタと玄関から足音が響いた。暗殺者なのに少しは抜き足差し足忍び足とか考えないみんなならではだけど、バタンと勢いよくドアが開いて、入ってきたのはメローネにギアッチョだった。 ジェラートの姿を認めるなり 「ジェラート、ディモールトやばい!服脱がせていい!?」 メローネは叫んで 「アッハッハ!ダッセェェ!」 ギアッチョは指差して笑い始めた。 あたしが騒いだ以上の騒がしさだ。もちろんやっぱりソルベはその眉間の皺を深くして、ジェラートは舌足らずなまま似合わない言葉をかわいらしく吐き、そして部屋の奥からリーダーがやっとこのリビングに姿を現した。やっぱり重役な登場なんすねぇ。 |