記憶


あー、これは夢だ。とわかる夢を見る時がたまにある。
周りはぼんやりしているが小さな男の子と女の子だけは鮮明に見え、そっと近づいた。


『うっ……ぐすっ……』
『ほら、泣かないで。あんまり泣くと目がとけちゃうんだよ』


泣きじゃくる男の子を女の子が頭を撫でながらあやしている


『いやじゃ……っ***ちゃんとはなれとーない!!』
『しょうがないんだよ、お父さんの転勤なんだもん……』
『ほんならオレ、***ちゃんちの子になるっそんでいっしょに行くっ』


子供というのは一度泣き出すとなかなか泣き止まないし、よく分からないコトを言うものだ
そんな光景を見ていると胸が苦しくなるのは、この夢が俺の記憶だからだろうな


『無理だよ、まーくんのお父さんとお母さんが悲しむよ』
『じゃって……』
『大丈夫だよ、まーくんならお友達いっぱい出来るよ』
『いらん、***ちゃんが居らんならいらん』
『……じゃぁね、もし、もしもおっきくなっても私のこと忘れてなかったら私はまーくんのそばにずっといるよ』
『ずっと?』
『うん、まーくんが今より背もぐーっとおっきくなって、泣き虫じゃなくなったら。私、会いに行くから。その時にまだまーくんが私のこと覚えてたら』
『うん!!ぜったい!ぜったい忘れないぜよ!!』

ーーー約束じゃ、ーちゃんと呼ばれます。ちゃん……ーー





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