ギルアリ どんなときに"キス"ってするんだ? と好奇心から以前シャロンに聞いたところ 感情が高ぶってしたくなったら、とか気付けば引き寄せられるように、とか"むーど"が大事!とかよく分からないことをキラキラ輝いた目で熱弁された。 なんだ、この状況は。 シンと静まった空間では、自分の胸の鼓動が相手に聞こえるんじゃないかと思うくらい五月蝿く鳴り響く。 間近で金の双眼に捕えられ、頬に添えられた指先のせいで顔に熱が上るのがわかった。 これはもしかして、シャロンの言っていた"そういうむーど"とかいうやつじゃないのか。 なんで、こんな、いきなり。 心の準備なんて全く出来てないというのに。先程まではブレイクから渡された仕事の資料を熱心に眺めていたギルバートに、いくら口喧嘩を売っても、上着を引っ張って邪魔をしようとしてみても適当にあしらわれ相手にしてもらえなかったのに 終始活字を追ってばかりだったコイツの目は今はこんな至近距離で、逸らされることなくまっすぐ私を映す。ああ、そうだ何をしても面白い反応が返ってこなかったものだから、後ろから襲いかかってやろうとしたらいきなり手を引かれてこんな状況になったんだ。と、鈍ったままの頭をなんとか回転させ、数秒前の記憶を整理し一人納得する。 「アリス」 心地の良い低音が耳に響いて少しの間惚けていると、いきなり唇に訪れた軽く押し当てるだけの柔らかな感触。ほんの数秒のことながらそれはアリスの動きを停止させるには十分だった。 「おまえ、目瞑れよ」 言われて思い出したかのように反射的に目を瞑ると指で額を弾かれた。驚いて目を開ければ目の前には愉快そうに口元を緩める男が 「いっ…!いきなり何するんだ!」 「随分余裕のない顔じゃないか」 「う、うるさい…!」 「真っ赤だぞ」 お前だって顔赤いじゃないか!とか、いつもはヘタレのくせにこんなときだけ何なんだ!とか言いたいことを言う前に、微笑と共に再び降ってきた口付けに、アリスは言葉を飲み込んだ。 願わくは唇の端をなぞるぬくもりが永遠でありますように (一度手に入れた幸せを失うのが怖い) ギルが押せ押せでアリスが乙女になりました。 匿名様、リクエストありがとうございました! お持ち帰りはご本人様のみでお願い致します。 配布元:hmr |