信頼の隣に | ナノ
「だってだって!この前からショボイ任務ばっかじゃん!!」


廊下まで聞こえてきたその声は、聞き覚えのあるものだった。誰かなー、と角を曲がってその部屋に入れば、いつか見た少年とその仲間たち。プラス常時マスク男――カカシさん。


『こんにちはー』


お話し中ぽかったけど、挨拶しないのもあれかと思ってとりあえず近くにいたカカシさんにご挨拶。ちなみに彼は「いいかげんにしとけ こら!」の台詞の後だ。ちなみに今三代目が任務がなんたるかをナルトに教えているところだと思う、たぶん。


「帰ってきてたのね」
『はい。…カカシさん、下忍君たちを受け持ってるんですか?』


珍しいですね、なんて言えば「まあね」といつもと変わらぬ気の抜けるような返事をくれた。


「もうゲンマには会ったのか?」
『はい。でも今は任務に出てます。私も今からなんですけど、』


笑って返せば、昨日の昼はとんこつだったから…なんていう声が下の方から聞こえてくる。それはもちろんナルトの声で、そのあとすぐに火影様が声を大にする。きけェェェイ!って。


「あ、ねーちゃん!ねーちゃんも任務?」


そんな火影様の声さえも彼――ナルトは無視して、こともあろうに私に話しかけてきた。そのナルトの代わりにカカシさんが謝罪の言葉を述べているから、まあ私にはとばっちりはこないかなー、と床に座り込んでいるナルトの目線に合わせて私もそこにしゃがみ込んだ。


『そお、私もこれから任務』
「いーなー。Sランクとかどーせやるんだろ?…あ、そーだ、ねーちゃんからも言ってくれってばよ。じいちゃんにさ、」
「いい加減にしろ、ナルト」


え?と見上げたのは、イルカがいかにも先生らしかったからで。怒ることもあるんだなーって。


「…けどオレってば もう…!いつまでもじいちゃんが思ってるようなイタズラこぞうじゃねェんだぞ!」


ナルトは、それでも折れなかった。
あーあ、怒られるぞ、ナルトも。カカシさんも。巻き込まれないようにひとまず退散するか、と立ち上がったのだが、いっこうに彼ら――火影様とイルカの怒鳴り声は聞こえない。いや、聞こえるどころか、なんと火影様が折れた。わかった、と。これは聞き間違いだろうきっと。


「ある人物の護衛任務だ」


ううん、やっぱり聞き間違いじゃないみたいだ。驚いている私をよそに(もともと彼らの任務とは全く関係がないのだが)話はどんどん進み、ついには護衛人物までもが受付に入ってきた。
火影様にどういう心変わりが会ったのかは知らないが、よかったね、ナルト。


「ぶっ殺す!!!」


なぜかそんな言葉が耳に入ったような気がする。カカシさんのごもっともなツッコミと一緒に後ろで聞き流しながら、私は火影様の前に立った。










「待たせたな、」
『いえ。…元気をもらいました』
「お前も年よりじみたことを言うようになったのお」


それより、と火影様は私にその発言について憤る暇を与えずに本題に入り始めた。まったく、話題をそらすタイミングがうまいな、なんて。私もその年になったらそんな風になるだろうか。


「どうじゃ、休暇はゆっくりできたかの?」
『はい、とても』
「それならよし。…ハルの次の任務は、」


そこで言葉をきった彼は、ふむ、と一度口を閉じた。くわえていた煙管を右手で持ち、長い巻物と睨めっこ。なかなか話が進まないから、『カカシさんたちの代わりにDランクに出ましょうか?』と聞けば、それを聞いていたのかどうなのか、漸く彼が口を開いた。


「ちいと大変じゃろうが、風の国まで護衛任務を行ってもらう」
『…護衛、だけじゃなさそうですね、』
「ああ。…依頼主は情報収集も要求している。Aランクじゃ、やってくれるな?」
『御意』


今回は三人一組じゃ、と付け加えた彼のすぐ後に、後ろから声がした。俺たちとだ、と。振り返ればそこには同期中忍メンバー。一時間後に正面入り口前で、と約束した。


風の国まで、いざ出陣



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