フォルスに止められたころには、召喚師組―――シーダ、ソウケン、カリス―――が到着していてシーダがカヤに付き添ってなんやかんやの話をしていた。
「おお、やっと終わったのかい、」
「よかったな、悪魔。もし俺がこいつの立場だったらお前の命はなかったぞ」
「すまないな、カヤ。お前のこと後回しになっちまった」
シーダからカヤを引き取ろうとして、だれかの足音が近づいてきた。ダンダンダンダン、音からして相当な剣幕であることがわかる。
「カヤ、」
その人物の第一声がそれ。その呼んだ人物の安否が確認できると今度は
「おい、」
じろりとにらんだその目は、鬼妖怪のすごみを持っていた。
「お前だろ、俺たちの響命石を弱らせていたのは」
なんだって、とはもちろん召喚師組からあがった驚き。俺はそこらへんのことはお手上げ状態だ。悪魔の方はと言えば、もう言葉を発する気力がないらしい。まあそんな気力があるなら、まだまだ―――
「おい、アベルト、そっちの事情徴収が終わったら、アレ、こっちにまわせよ」
「わかった。いつまでも俺の手の届くところにいたら、俺が犯罪者になりそうだからな。そうそうに異世界調停機構に持ってく」
『ねえ、キタロウ、どういうこと、』
震えは止まったようだ。カヤの声が聞こえた。
「響命石の力が弱まっていたのは本当だ。こいつの仕業でな。けどま、それはもう修復済みだ。お前の気にすることじゃねーよカヤ」
『だって、私が疑ったから、』
「違う。順序が逆だ。響命石が弱まったから、お前が疑った。それに、嫌がらせがあったから、お前が信じられなくなった」
『でも、じゃあ、私、』
「全部こいつの悪巧みだよ。気にすんな」
だから嫌いなんだよ、こいつのことは。
いつ、カヤをとられるか、わかったもんじゃない。
「あー、それからお前、警察騎士」
「なんか用かー?」
「お前、もう少し召喚術について勉強したらどうだ、特に響命石の扱い方について」
「なんだと、」
「あんな大声でどなられたら耳が変になっちまうだろ、バカが」
くそ、あの声が届いてたってのか。あー咄嗟だったとはいえ、こいつに頼るなんて。
「あーじゃあいろいろ報告してくるから、俺は今から異世界調停機構にでも行ってくるか」
『あ、ごめんね、私も―――』
「お前は来るなばか」
『でも、報告、』
「ああ、そいつと一緒にアタシらも行くからさ、お前は休め」
「あーでも誰か残っててくれねーと、こいつ、警察騎士団に連行―――」
「ここか、現場は。あの鬼のガキ、住所だけ言って部屋番号言わずに先に行きやがって、」
玄関の外からどこかの誰かさんの声がする。
「遅かった理由はこれかよ、響友」
「これで借りは返したからな」
「は、何のだよ」
「この前、警察騎士団からの帰りだよ。大事な話があんだろ、二人でどっか行け」
あーくそ。
こういうところが嫌いだ、俺は。
こいつとは絶対仲良くやれる自信がない。
「あー、フォルス、部屋貸してくれねーか、ここじゃさすがにゆっくりできそうにねーしな、警察騎士団の寮に入るわけにもいかねーし、」
「あ、うんいいよ。はい鍵」
「すまねーな」
カヤ、立てるか。その疑問は口にする前に飲み込み、フォルスの手伝いをもらいながら背中にのせた。
「しばらくずっと憑依されてたんだろ、そりゃ疲れるわけだ。今はゆっくり寝かせてやりたいところだけどね」
とはシーダのセリフである。
「おっさん、こいつこんな状態だから、今日は取り調べ無理だ」
「ああ、わかってる。明日適当な時間に来い。ああ、それから、お前はこの件から外してあるからな、うっかり勤務にきても仕事はないぞ」
「わかったわかった」
相変わらず、俺の周りにはこういうやつしかいないんだな。
みんなの助けをかりて、俺はカヤの部屋を出た。
大事な話をしようか
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