24.雑音なんて全て消え失せて。















――――…翌日・学校。





「若ちゃん、それどうしたの?」

「え…?」




と。

彩に指摘されて気付く。




「……え?」



宮里の視線の先は、私の手首。



「…(何で、)」



何で手首に、これが。







黒と白と、ピンクの、ブレスレット。




「それは、俺からね」




夢の中のものがフラッシュバックした。あれは夢だったのに、いやそもそもどうして気付かなかったのか。



あまりにも自然に溶け込みすぎて気付かなかった…?




「##NAME1##ちゃん?」

「え、あ…うん、もらった」

「へーそうなんだ」

「うん」



嘘は、言ってない。………はずだ。


もしかして自分で買って、臨也がくれたと投射してしまったのだろうか。それはいろんな意味で酷いな、イタすぎる。



可愛いね、と誉めてくれる彩に曖昧に微笑む。



絶賛混乱中だ。なうだ。

何がどうなってんのこれ。



大丈夫と言ったくせに既に保健室に駆け込みたい。切実に。助けて梓。




と。



「あ、“臨也くんだ”」

「!」



いつの間に、彩は臨也くんと呼ぶようになったんだろう。

突然のことに絶句して、臨也に駆け寄る彩を見送る。








「折原くんと宮里さん付き合ってるのかな」

「え、倉田さんだと思ってた」

「もしかして宮里さんに取られちゃったとか?」

「え、略奪愛!?宮里さん見かけによらず肉食じゃん」

「でも私、倉田さんの方が良かったなあ」

「私も」

「なんか落ち着くよねー」

「雰囲気が好きなんだよねーベタベタしてなくて」



クラスメートの女子の会話が筒抜けだ。

そう言ってくれるのは純粋に嬉しいけれど、彩の耳に入らないことだけを祈る。


彩と臨也を眺めていると2人とも仲良さげに話していて、ああ確かに付き合ってるのかな、なんて。




「…」

「…っ」



目が、合う。

しまった、眺めすぎた。



すると、臨也は何気ない動作で右手で首裏を触る。


その瞬間、泣きそうになった。















24.雑音なんて全て消え失せて。



「(夢じゃなかった、)」



臨也の右手に黒と白と赤。

私の右手に黒と白とピンク。



――――…夢じゃなかった。








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