どこから道を間違えてしまったのかと、本気でそう思う。

オレは金とかには恵まれていたし、女遊びだってそれなりにしていたはずだ。なのに、オレは確実に道を踏み違えようとしている。―――いや、もう既に踏み違えているのかもしれない。

「…スパーダ、聞いてる?」
「あ゙?ああ……」

無機質な部屋に響く二つの声。王都の宿の部屋でオレ―――スパーダ・ベルフォルマ――とルカ―――ルカ・ミルダ――は、真ん中でその存在を主張していた大きなベッドの隅に肩を並べて座っている。

「スパーダ…あの…ごめん、僕……」

目だけをそっと左に向けると、ルカは膝に置いた手を強く握りしめていた。白くて小さな手に、紫色の血管が浮き立つ。

俺はそんな彼の肩に手を乗せた。少し竦んだそれを確認してから、オレは口を開いた。

「いいか?男ってのはなァ、頑固じゃなきゃ行けねーんだ。ルカ、お前は女か?」

余程驚いたのか、ルカは顔を赤らめながらこちらを大きな瞳で見つめる。

「なっ…何言ってんのさ!僕は男だ!」
「そうか?だってお前ウジウジしてるし、さっきの告白も嘘なんじゃねーのかなってさ」

そう。今日の夕方、オレはルカに告白された。好きだと言われたのだ。男に。

オレはアイツのことだから、断りゃ勝手に引き下がってくれると思っていた。


でもアイツは、こう言うときに限って引き下がらなかった―――だから少し、ほんの少しだけチャンスをくれてやった。ただそれだけだ。

「僕にだって、“君を満足させること”くらいできる!!」
「へー、童貞クンの癖にか?」
「ゔっ……」

こいつが言うように、オレの付き合う為の条件は“オレを満足させること”。半分冗談のつもりだったが、見事に本気にされてしまったので今に至る。

「ぼ、僕にだってできるよ!!」

子供のような台詞を吐いて、ルカはオレを押し倒した。


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