「はぁー、着いたぁ」
跳ねた茶髪につぶらな瞳を持つ少年…沢田綱吉は、改札を抜けて安堵のため息をついた。
「もう疲れたー。帰りたいよー」
ビシッ
「でっ!!」
弱音を吐いている綱吉を、彼の家庭教師…リボーンが一喝する。
「っでー!!何すんだよ、リボーン!!」
「ボンゴレ十代目ともあろう者が、何泣き言言ってんだ」
「うっ、うるさい!!俺はならないって言っただろ!」
「また“ならない”って言ったわね?それっv」
バキッ
「ぐべっ!!」
脳天にリボーンの平手を受け、カエルの潰れたような声を出す…え?表現がグロい?知らないったら知〜らない★
まあそんなわけで、女子マネージャーの格好をした女子マネリボーン(言いにくいな)と、綱吉はとある県の山奥に来ているのだった。
「はぁー…せめて獄寺君と山本がいてくれれば…「十代目ー!!」…え?」
聞き覚えのある声――。綱吉の顔が、思わず綻んだ。
「獄寺君!!」
わあっと、笑顔で獄寺に向かい走っていく。獄寺もこれでもかと言う程満面の笑みを称え、駆け出していく。まるで飼い主を見つけたペットのようだ。
しばらく興奮と安堵で息を乱していた綱吉ではあったが…突然、獄寺へ真剣な眼差しを向けた。
「でも獄寺君…どうしてここに?」
「それはですね…あ!!十代目、不治の病は大丈夫ですか!?」
「へ?」
(何言ってんのこの人。)
綱吉がぽかんとしていると、獄寺が話を続けた。
「十代目が不治の病にかかって、療養の為に==県に行くって…良かった、俺スゲー心配して「獄寺君」はい、何ですか?」
獄寺の方を真っ直ぐ見る。ついでにどす黒いオーラを放ちながら。
「それ言ったの、誰?」
「え、それは…「誰?」…」
黒いオーラを垂れ流す綱吉に対し、真っ青な顔で冷や汗を垂れ流す獄寺。
「り、リボーンさん…です」
「うん分かった。」
心底気まずそうに、そしてリボーンには申し訳なさそうに答える獄寺に、綱吉は余裕のある笑顔で応えた。
「リボーン咬み殺してくる」
「ちょ、十代目抑えて!!ていうかセリフ違いますから!!ていうか貴方はあくまで争いの嫌いなヘタレ設定なんですから、殺すなんて言っちゃ駄目です!!」
「うるせー!!アイツを殴らなければ死んでも死にきれねー!!」
「こういう場面にそういうテンションで言う決めゼリフじゃないですから!!」
えー、綱吉がかなりの悪人に、そして獄寺が、とてもまともな人に見えてきたところで本題に移りたいと思います。
綱吉は、明らかに逃げたであろうリボーンと、山奥で待っている(らしい)仲間に会うため、獄寺の案内に従い歩くのであった。
「…十代目…」
「ん?」
「ふ、二人きり…っすねvV」
ドゴオッ(何かを砕く音)
「うん、そうだね獄寺君v」
獄寺は二度と彼には背かないと、このとき誓ったのだった。
つづく
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