ゆるやかな愛撫の様な

(一真×達希)




髪を撫でられる感覚で目が覚めた。


「ん……」

「あ……起きたのか?」

「達希……?」


とろりとした思考。
普段なら酷く不機嫌な筈の目覚めも
目の前に居る愛しい彼のお陰で溶かされてしまう。

「ぅ……今日は……何曜?」

昨日まで風紀の仕事が慌ただしく、休日返上で働いていたせいですっかり曜日感覚が無くなってしまった俺は、日にちよりも曜日を確認すると

「今日は日曜で休み。
やっと風紀の仕事が落ち着いたんだしもう少し寝とけ」

「んぅ………」

どちらともとれる様な生返事をかえしながら達希の細い腰に抱きついた。

「一真?」

「もっと……」

「え?」

「もっと撫でてよ。
俺、達希の手、好き」

溶けた思考と表情で言えば、達希は顔を少し赤らめながらいきなりは反則だろ……とか呟いてきて、愛しさがまた募った。

その後すぐに暖かい掌が優しい仕草で俺の髪をすく様に撫でてくれて気持ち良い。

「達希……大好き」

「ん……知ってる」

「達希は?」

「……俺がそういうの苦手だって知ってるだろ?」

「うん。
でも聞きたい」

「我儘……」

不満気な声の後、耳元に顔を寄せられて
聞き取れるかどうかの本当に小さな声で「好きだ」って言ってくれて俺は嬉しくて、幸せでまた笑みが溢れた。

嗚呼、ゆるやかに流れる愛撫の様なくすぐったいこの時間が何より愛しい。


END


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