「平助は相変わらず小せぇよな!」
「筋肉馬鹿の新八っつぁんには言われたくないけどね!」
「まぁまぁ、二人とも馬鹿なのは変わんねぇから」
平助、新八、左之助の三人通称三馬鹿は今日も元気に口喧嘩中。
縁側に座って、せんべいをかじりながら思いをぶつけあっていた、…のだが。
ガサッ
「…おい、新八。今そこの茂みから音しなかったか」
「したな。もしかしてよ、平助」
「なんか、いるよな。どっからもぐりこんだのかは知らないけどね、左之さん」
ガサッガサッ
茂みからは音がしている。長州の奴らか、あるいは浪士か。三人とも腰の刀に手をかけた。
………が。
「ぷはっ」
「…………え?」
「…………は?」
「…………あ?」
茂みから出てきた人物。それは浪士どころか、大人ではなく。
「な、なんでこんなとこに」
「ガキがいるんだ?」
「おいおい、誰の子供だよ」
「え、左之さんの子じゃないの?」
「平助お前!」
愛らしい少女であった。歳はまだ三つか四つくらいだろう。葉っぱまみれの顔を三馬鹿の方に向けている。左之、平助、と見て、その目が新八に行った瞬間。
「ちちうえ!」
少女は目を輝かせながら新八の方へと突進してきた。そのまま新八の脛に体当たりしぎゅっと抱き締める。そして顔を上げてもう一言。
「とうさまー!」
「どういうことだぁぁぁあああ!」
新八が雄叫びをあげている。二人は信じられない、と言った表情で新八と少女を交互に見ている。少女は眩しい笑顔を新八に向けたまま。
果たして、この少女は本当に新八の娘なのか。
続く………かもしれない。