6.
ナルトと一緒にお布団を仕舞おうとしたら、
木宅さんが仕舞ってくれて、
ナルトの血と泥で汚れた屋敷を掃除しようとしたら、木宅さんが手伝ってくれて、
影分身で一斉にやっちゃったからすぐに終わってしまった……。
そうこうしてるとお腹が減って、
ぐぅっと鳴った私を見て、「台所借りるね。」と木宅さんが遅い朝食を作ってくれた。
「こき使い過ぎてヤバくないか……!?」
と言っていたら、
「白虎に使われて慣れてるから大丈夫だ、やらせとけ。」
ってナルトが言うもんだから、ついつい任せちゃったよ。
――――白狐さんって、何者………?
チラチラ出る話を聞いていると、
私のよく知る、あの隻眼銀髪イチャパラ先生が浮かんでくるんだけどな……。
素直にナルトに、「白狐さんって何者なの……?」
と質問すれば、
「…………………………変人。」
ってすっごい間を置いて返ってきたよ。
益々気になったけど、ナルトはこれ以外に言える表現がないって言って、
それ以上の話はしてくれなかった……。
まあ、ナルトの側によく出没するみたいだし?
焦らなくても近い内に会えるでしょー。
「さ、出来たよ。
あんまり材料が置いてなかったから、在り合わせだけど……。」
と言って、木宅さんは沢山の美味しそうな料理を出してくれる。
「〜〜っ!!全然っ!凄く美味しそうです〜っ♪
木宅さんって料理上手なんですねー!?」
キラキラした目で見つめると、木宅さんは照れた様に頭をぽりぽりと掻いていた。
「いや〜、でも期待しないでね。
先輩からも言われてるんだけど、僕の料理って見た目は美味しそうなのに食べるとあんまりなんだって……。」
「え〜っ、絶対そんな事ないですよっ!
じゃあ、いたたぎます!!」
はしゃぎながら用意されたテーブルに着いて、
ぱくっと一口食べてみる。
―――――――うん、見かけ倒しだった。
出し汁の出てない味噌汁に、
ガチガチのご飯、しょっぱ過ぎる玉子焼き、
臭みの取れていないホウレン草のお浸しに、味のない豚肉のしょうが焼き………。
手間を省いて作っちゃいました☆感が満載だ。
出されたものは最後まできちっと食べないと………っ、
という使命感のみで何とか平らげ、
少し吐きそうになってしまった……。
ナルトも同じ様に食事を出されたけど、
一口二口辺りでダウンしてた。
「………木宅さん、料理は手間と愛情だ、って母が言ってましたよ。」
恨み言のように言う私に、木宅さんは胃薬を持ちながら申し訳なさそうに項垂れていた。
「………あー、私が作れたらなあ……。」
何とも空しい言葉は、ぽつりと呟いたつもりだったのに、
ナルトにも聞こえていたみたいで、驚かれた。
「……麻夜、料理出来るのか?」
「へ?うん、母さん達は結構忙しい人達だったから、
私が一人で居る時も多くてね。
御手伝いに来てくれてた人によく教わってたの。
もうプロ級に料理が上手な人でね、
お教室に行くみたいにきっちり教えて貰ってたよ。」
バツイチ子持ちのバイタリティーのある方で、
よく料理といわず、家事全般について教わってた。
母さんはあまり家事の得意な人ではなかったから、
そういう事は、全てその人から仕込まれている。
「ただね〜、料理出来ても……この姿じゃあ、台所に手が届かないんだよねー…。
ああっ、ナルトみたいに変化出来たらいんだけどなー。」
「………そうか。」
私の呟きに、ナルトは何かを考えているみたいだったけど、
料理の失敗を挽回しようと、
家中をせかせか動いて働いてくれてる木宅さんに邪魔されて、
それ以上の会話は無くなってしまった。
→アトガキ。
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