5.







「……やっぱり私、ここに来て良かった。」


「…そうか。歓迎する、麻夜。」


「へへ、ありがと。」





「ああ、よかった。
打ち解けてるみたいですねー。」


突然の声に、ナルトも私も驚いて、声がした方に振り向く。


ばっと勢い良く見た先には、呑気な顔で欠伸をしてる死神さんが居た。



「し、死神さん!いつからそこに!?」



私が死神さんっと叫べば、ナルトははっと私と死神さんを交互に見る。


「ああ、そうか。こいつが麻夜を連れてきたやつか……。」


「へ?あ、うん。そう。
名前分かんないから死神さんって呼んでるの――――って、うえ!?ナルト!?!?」



そう言ってナルトの方を見ようとしたら、
物凄い速さでナルトが消えた。

どこ行ったのー!?って慌てて部屋を見回せば、
私たちから距離をとって、白い面を被った忍び服の人の後ろに隠されてた。




白い面の人は何も言わずに私たちにクナイを構えてる。
ってゆーと、攻撃体制。なんで!?



死神さんはにこにこして全然慌ててなくて、
ナルトははぁって悠長にため息ついてる。

私だけがこの展開に慌ててた。


「はぁ…。木宅、あいつは突然現れたが敵じゃない。
麻夜の保護者的な存在だ。
クナイを仕舞え、麻夜に向けるな。」


「あれ?僕に向けるなーはないんですか?
でも優秀な護衛さんですね、ナルトくん。」



「……あんたにも、悪かった。」



「いーえ。」



白い面の人に怒ってクナイを仕舞わせるナルトに、
呑気に会話をしてる死神さん。


「麻夜、悪い。こいつは俺の護衛にじじいが付けてる、木宅って暗部だ。」


ナルトが白い面の人から離れて、元の私の隣まで戻ってくる。



「え?護衛に?……えっと、もくたんさんを?」


「はは、違う麻夜。『もくたく』だ。」



「……あ、ああ、もくたくさん……。ハジメマシテ?」


私が木宅さんに向かってお辞儀つきでぎこちなく挨拶をすれば、
木宅さんはぺこりと頭を下げてくれた。



「え、いっつも護衛が付いてるの?」


「まあ、大体な。
いつもは白狐ってやつが付いてるんだが、白狐が俺の側を離れる時は木宅が来る。」



「そ、そうなんだ……。」




もう急展開過ぎてついていけないが、
どうにか頭の整理をして、この状況を理解していく。




「……悪い、驚かせてしまったな。
あの、麻夜が言う死神って奴が気配無く現れたものだから、
じじいからの任務の為に動いたんだ。」


「つまりは死神さんが怪しくてナルトを護る為に来てくれたんでしょ?
謝ることないよ、突然現れた死神さんが悪いんだから。」



「……麻夜さん、それってあなたを心配してやって来た僕に対して酷くないですか……?」

死神さんがうじうじ言ってたけど、
気にせず、私はナルトに大丈夫だよと告げる。



「死神さん、来てくれてありがとね。」


一応、来てくれた事には感謝してお礼を言えば、
死神さんはうじうじしてた雰囲気をさっさと止めて、
なんか営業モードみたいになった。


「どういたしまして。
今の処は順調の様ですが、困ったこととかはないですか?」



ない、と答えたら、死神さんはちょっとしょげてたけど、
「わかりました。」と言って、すぐに消えてしまった。

なんだったんだろうとも思ったけど、
多分忙しいんだろうなあっと自己解釈して、
バイバイ、と見送った。




しかし死神さん。
この空気、どうしてくれる……。



「…………、えーっと、そう言えば私起きた時のそのままだった。
ちょっと顔洗って着替えてくるね。
木宅さん、もう会っちゃったし、
どうぞそのまま寛いでて下さい。」



ナルトと木宅さんに声を掛けて、私はまだよく分からない我が家の洗面所へと向かった。


ちらっと振り返って二人を見ると、
ナルトは布団を畳んでくれてる。
木宅さんはちょっと気まずそうだけど、
もう隠れるつもりはないみたいで、その場に座ってた。



私はその光景に安心して、
廊下を挟んでちょっと離れた洗面所へと急いだ。





→アトガキ。



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