いたずらしちゃうよ 01

コンコン、コンコン

いつものように4回のノックのあと、静かに扉を開ける。
恋人同士になったのだから本当はもう4回じゃなくても良いって言われたのだけど、4回ノックをしてるのが実はこの船でシンさん以外に自分だけだって知ったから、あえて4回するようにしてる。
その代わり他の人の部屋に入る時みたいに開ける前に名乗らなくても、シンさんはいつも私だってわかってくれるから。


昨晩徹夜で舵を取っていたシンさんは、今朝私が目覚めた後にようやく部屋に帰ってきた。
シンさんのおかげで船は大して揺れなかったけど、浅瀬の多い海域だとか言っていたからきっと一晩中神経を尖らせていたんだと思う。
夜食を持って行った時も軽くキスしてくれるだけで、落ち着いたら食べるからってコーヒーも夜食もなかなか手を付けそうになかったもの。

疲れた顔で部屋に入ってきたシンさんは、ちょうど着替え終わっていた私をぎゅっと抱き締めた。
「昼まで寝る」
そう言って乱雑に着ていた服を椅子の背にかけて、布団に潜り込んでしまう。
「えっと朝ご飯はどうするんですか?」
「お前が持ってきてくれた夜食を食べられたのが既に明るくなってからだったからな。昼に何か甘いものが食べたいってナギに伝えといてくれ」
「わかりました」
シンさんの服をハンガーにかけながら私が答えると、よほど疲れていたらしくすぐに規則正しい寝息が聞こえ始めた。


「シンさん?」
あれから朝食、洗濯、食堂と航海室と舵のお掃除を終えて、ついさっきまで厨房で昼食を作るナギさんのお手伝いをしてきた。
「もうできるから、シンを起こしてやれ」と言われて部屋まで来たのだけど。。。
シンさんは徹夜明けでも大体いつもこの時間にはもう起きてるのに、今日はまだ部屋が暗いままだ。
目が慣れるのを待ってそっとベッドに近づいてみる。

「シンさん、お昼ご飯できましたよ」
呼びかけてみるが、反応はない。
(熟睡…してる?)
体調でも悪いのかと思ってそっと額に手を当ててみるけど、熱はなさそう。
でもおでこに手を当てられても身じろぎひとつせず眠ったままって…
珍しい。シンさんいつもすぐ目を覚ましちゃうのに。

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