がんばらんば 01

ヤマトからずっと南にある大陸。
大陸って言っても、ヤマトの西の大陸とかに比べたらずっと小さいのだけど。
それでもヤマトの20倍以上の面積があるってシンさんが言ってた。
大陸全部がひとつの国なんだって。
大きいなぁ。

その国の北部にある港町に今回立ち寄った。
観光地として有名な場所で、ヤマトの人も多いみたい。
港へ着くちょっと前に通った珊瑚礁はすごくキレイで、観光地として人気があるのも納得できた。
さすがにシリウスの船じゃ珊瑚礁の中までは行けなかったけど、ハート形の珊瑚もあるって聞いてちょっと見てみたいなーと思った。
今度アベルさんがきたら「空から見せてください」って頼んでみようかなw


街の中は所々ヤマトの言葉の看板もあって、違う国なのに安心した。
今回は別に情報収集とか関係なくて、単に物資の補給が目的だったから、買い物を終えたシンさんは私と一緒に街を歩いてくれた。
乾期の熱帯の心地よい空気と晴れ渡った空は、最高のお散歩日和だ。

「あ!ラーメン屋さんだ!」
美味しそうな匂いに誘われてたどり着いたのは、懐かしいヤマト文字で綴られたラーメン屋。
「なんだ?ナギスペシャルみたいなものか」
店頭に貼られた写真を見てシンさんが言う。
「ヤマトではラーメンって言うんですよ」
そう私が言うと、「入ってみるか」と言ってシンさんは暖簾をくぐる。

「へい、らっしゃい!」
ヤマトらしいかけ声で迎えてくれる店員さん。
なんか故郷に帰ったような気分でくすぐったい。

冷たい麦茶を出されて、喉を潤しながらメニューを見る。
うーん、どれも美味しそう。
粋麺(イケメン)っていうのにしようかな。
なんか一番オススメみたいだし。
名前も面白いな。
イケメンってヤマトではカッコいい男の人のことなんだよね。
シンさんは知ってるのかなぁ?

そんなこと考えながらシンさんを見ると、「決まったか?」って聞いてきた。
「はい、この粋麺っていうのにしようかと」
そう答えるとシンさんが言った。
「この店の店員はヤマトの人間か?」
「たぶん、そうだと思います。外国訛りのないヤマト語話してますから」
私が言うと、シンさんは「じゃあお前が注文してくれ」って言いながらメニューを指した。

シンさんが指したのはえっと…「金玉」
えぇぇぇぇ?????
私は思わず真っ赤になる。
シンさんはわかってないみたいだけど…
これ…私が注文するの???

ドギマギしてるうちに店員さんが来ちゃった。
「ご注文は?」

「えっと…粋麺ひとつと…き…き…金…金玉…ひとつ……」
真っ赤になりながら小声でなんとか注文する。
「麺の固さは?」
シンさんに聞くと「固め」だって。
「粋麺は普通で…き…金…玉…は…固め…で…お願いします…」
もう最後の方とか声になってないよ。。。

お店のお姉さんは私の注文を確認した後、厨房に向かって大声で言った。
「イケメンひとつと金かためひとつ入りましたー!」
あっそう頼めば良かったんだ……私ひとりで恥ずかしい思いしてバカみたい…うぅ。。。

まだ顔が火照ったままで、シンさんは不思議そうに私を見ていて、いたたまれなくなって「お手洗い行ってきますね」とテーブルを離れた。

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