春眠 | ナノ
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まさかの、レオを却下する驚愕の断わり文句、キタ――――!


って、ええええええ!?!?!?うそぉぉぉ!!!!!
ガトー?あのガトー!?
あ、頭は元気?心は正気?身体は平気?
あ?もしかしてBBに洗脳……そうか、精神が汚染されたんだね!なんて酷いことをするんだ、BB!
いくら桜と同じ顔をしているからって、こんな非道―――許せるはずがない!桜、桜!スキャン、彼女の頭と体、そして心(メンタル)のチェックをしてあげて!!!


『メディカルチェック、完了。嘘…スキャンしても、フィジカル・メンタル共に異常なし―――どう、して』
『正気だっていうの?そんな……信じられない』
『ふ、ふはははは!ようやく、吾輩の時代は来ませり!だが、惜しいかな。小生は既に心の女神のものなのだから!』

う、嘘でしょう?
どこがいいの?ねえ、本当に教えて?
筋肉?筋肉がいいの!?それならうちのアーチャーの方がまだマシではないだろうか!!!
一体貴女にどんなトラウマが――――!

衝動的にテーブルに身を乗り出して、シャノンの肩をつかみ、顔を近づけて問いただす。
そう、ここを問い詰めることこそSGにつながるという確信があるし、なによりこんな酷い心の傷を抱えた人を放っておけない――――!



「そ、そこまで心配されるなんて……まあ、普通する、かな。いえね、だって彼、あの中で一番丈夫そうでしょう?」

その思いがけない言葉を聞いて、シャノンを揺さぶろうとしていた手を止める。
はて、丈夫?なんで?

「だって、殿方だと最低限でも、殺しても死なないような人がいいじゃない?で、そんな性別による前提条件を取り払ったら、遠坂さんが好ましいかなって」

なんとも不穏な台詞、ありがとうございます。
あなたの男性の好みは理解できませんが、よかった――――貴女の頭は無事だったんだね。
ほっと胸を撫で下ろす。



『ふむ、なるほど。しかしそれを除いても、なぜ彼女なのでしょうか?自慢ではありませんが、僕ほど高物件はいませんよ』

全く理解ができないと言った風な口調のレオに、色々と物申したいことはあったが、まあ過去の記憶が曖昧で機微に疎い私でも、その疑問を抱くことは納得できる。
だって、地球を支配する西欧財閥の時期当主とか、高物件通り越して、高層物件ですよ
億ション通り越すくらい高すぎるし、高価すぎると思います。

「いえ、悪いとか、いいとかではなくて…彼ってもう完成しているじゃない?それは素晴らしいのだけれどね。…そんな人よりも、トオサカリンのような人間の方が、伸びしろがあるというか、支えがいがあると思わない?――――なにより、彼女の自爆芸は見ていて、とっても面白そうですしね!」
『どういうことよ!』




ああ、納得した。
物凄く納得した。


『―――そうか、よかった。彼女とはいい友人になれそうだ。具体的には絶対領域的に』
いや、そこで決めつけるのは良くない。ツインテールがいいのかもしれないし、ミニスカニーソがストライクなのかもしれないじゃないか。

『くっ、なるほど―――ことによれば、俺たちは不倶戴天の敵となるかもしれないぞ……!』

そんな緊張感のない私を、シャノンは見守る様に微笑えんだ。

「いえ、どちらかと言えば、彼女の勤勉……というか、万事に対して努力的なところがとても好ましいから、かしらね。爽快なくらい前向きで行動的、足を止めずに前進する人間って、珍しいでしょう?ええ、だから彼女のことが好きなの」

そう真っ直ぐな言葉で、飾ることない本心を語り、笑みを零すシャノン。それは、紅い光に照らされて、蕩けるほどに美しい。


『ってあー!も、もう撤退よ、白乃!これだけ話しても、収穫がないなら戦略を変えるしかないわ!』
『あはははは、また1つめのSGが輝いていますよ、ミス・トオサカ。―――しかし、いずれにせよ、このままでは話が進みそうにもありませんね。というわけで、一時撤収してください。作戦を練り直しましょう』

ああ、わかるよ凛。これはちょっと照れる。
しかし、SGを探りに来て、反対にSG(トラウマ)を揺さぶられるとは……シャノン、恐ろしい子。
そうして、レオの言葉に従って、お暇を告げる。


「あら、もう帰るの?」

どこか寂しそうに零される言葉に、一抹の申し訳なさを感じながらも頷く。
これ以上、迷宮に籠っていても進展がないのなら、一時撤退するもの戦略として正しいからだ。だが、そんなことを彼女に直接言うのもはばかられるため、当たり障りのないことを話しておく。
はい、ちょっと――――そう、おなかがいっぱいになったもので

「なら、ちょっと待って、……はい、お土産。お口に合うかわからないけれど、校舎の皆さんにも召し上がっていただいてちょうだい」
あ、どうも、これはご丁寧にありがとうございます。
その―――また、お邪魔しますので。その時は、また私と話してくれないか。

「ええ、気にしないで、私がしたいだけなんですから。だから、気を使わないで、また来てね。待っているから」

そう言って、彼女は蕩けるように、ふわりと微笑んだ。


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