You Copy?



『みんなルールを理解してきましたね。次いきます』

「……………」



王様ゲームの仕組みや醍醐味、そのリスクを理解した武将たち。ついに掛け声の前には無言となった

ただ真田くんだけは未だに目が輝いてる。彼は罰ゲームに当たりませんように



『いきますよ!せーのっ』

「「「『王様だ〜れだっ』」」」

「…………(喜)っ!!」

『小太郎くんっ!!?』



三回目の王様はなんと小太郎くんだった

片手に割り箸、もう片手に気分カードを掴み掲げている。喜のカードを振りかざし仁王立ちだ



「…おい、石田。風魔が何を命令するか聞け」

「貴様が私に命令するなっ!!!」

『三成しか小太郎くんの言いたいこと分からないから…お願いね』

「御意っ!!!…風魔、さっさと命令しろ」

「…………」



端から見れば無言の小太郎くんと三成が睨み合ってるだけだが、彼らは何故か意思の疎通ができる

そして、しばらくすると三成は首を傾げ…



「…一番が貴様の膝に乗る、だと?」

「何ぞ、その命令は」

「そんなの姫さんが一番じゃなきゃ成り立たな…」

『私、一番です』

「「「…………は?」」」








『…小太郎くん、私の番号盗み見たよね』

「……………」

『ピンポイントで私狙ったもんね!伝説の忍なめてたよ!』



小太郎くんの膝の上。してやった顔でお腹に手を回す彼は動体視力の無駄遣いだと思う

…王様が満足なら何も言えないけれど



「そうか!姫さんの番号を見たらそれで万事解決じゃんっ」

「佐助っ!!!ズルをする気かっ!!遊びとは言え正々堂々と臨まねば−…!」

「風魔の顔見てっ!!めちゃくちゃ欲望にまみれた遊びだからね王様げぇむ!」

「黙れ猿っ!!早く箸を回収しろ!雪子を風魔から離さなきゃなんねぇだろっ!!」



急いでくじを回収し、ジャラジャラと混ぜ始めた武将たち。佐助さんは目をバチバチさせて私の番号を見る気満々だ

いや、それよりも王様を引かなきゃ意味ないですよ



「引いたねみんな!さっさといくよ、せぇの…!」

「「『王様だ〜れだっ』」」

「われよ」



サッと静かに手を挙げたのは、いじめっ子代表・大谷さん

すぐ後ろの小太郎くんが舌打ちしたのが分かる。他の人たちも苦々しい顔をしてしまった



『お、大谷さんが王様ですか…』

「ヒヒッ、われは目も悪くてなぁ。生憎ぬしの番号は見えなんだ」

『はぁ』

「故に今から順番に番号を問う。それに雪子はいいえ、とだけ答えよ。番号を当ててみせるわ」

『どこのメンタリストですかっ!!?』

「ほれ、1…」

『い、いいえ!』



2、3、4、5…大谷さんが口にする数字をただただ否定していく

まぁ、いくら大谷さんとはいえ…




「七番か」

『当てちゃったよこの人…!』

「ヒヒヒッ!!!では二番と七番、これの端をくわえてもらおう」

『…………へ?』
「…………は?」



大谷さんが掲げたソレを見て七番の私と二番の…三成が妙な声を出す

彼の手元にある箱は、スティック状の焼き菓子にチョコレートをコーティングしたかの有名なお菓子だった。それをくわえて端から…


『…って、ポッキーゲームをどこで知ったんですかぁぁぁっ!!?』

「おいおい、また新しいげぇむが出てきたぞ。食い物か?それ」

『元親!箱から出さないでっ!!』

「雪子、命令がきけぬか」

『う゛…』



…ポッキーゲームと言えばご存知の通り有名な罰ゲームの一つ。その場のノリで明暗は別れるけど、最終的には…まぁ、アレをしてしまうわけで

元親や佐助さん。ギリギリで政宗さんならノリよく流せるかもしれない、けど相手は純情・三成だ



『ちょ、ちょっと厳しいかなぁ、と』

「なるほど、雪子は猿や独眼竜とならばできるが三成では不満か」

「っ!!!」

『違っ…そういうわけじゃなく言い方ってものがですね…!』

「やれ三成。雪子はぬしと甘味は食えぬらしいぞ」

「そ、うなのですか…?」

『えぇー…』



あざといです大谷さん。私に拒絶された三成が半泣きで見つめてくる、そんな目されたら拒めないに決まってるでしょう



『と言うか、絶対に三成の番号が見えたんですよね…!』

「はて、われは知らぬ。それよりも三成とできぬか?ならば猿や独眼竜に変え…」

『します!恨むなら大谷さんを恨んでね三成!』

「むぐっ!!?」



元親の手からお菓子を奪って三成の口に突き入れた。まわりは状況がよく分かっていないらしい



『…ポッキーゲームとは、こういうことです』

「!?!?!?」

「なっ−…!!?」

「何してんの姫さんっ!!!」



三成に自分の顔を近づけ、お菓子の端をくわえる私。顔に影がかかった瞬間から彼は驚いて体を跳ねさせた



『両端からお菓子を食べていくの、単純でしょ?』

「な、なんと!しかし、そ、それでは最後には…!!」

『………』



真田くんの言う通り最後にはキスが待っている。だから嫌だった…キス以前に三成には荷が重すぎるから

今だってほら、肩に置いた手から彼の震えが伝わってくる



「っ………!」

『い、いやなら、逃げてね三成…』



サクッというお菓子の砕ける音が部屋中に響くような気がした。それが聞こえるたびに近づいていく私たちの距離

あと数センチ。鼻がぶつかりかける。ふいに息がかかった


そして…




「やめぬかぁぁあぁぁっ!!!」

『ぎゃあっ!!!?』

「!!!!!!?」

『な、なにするんですか元就さんっ!!!』



頭頂に落ちてきた衝撃と痛み!隣を見れば手刀を振り切った元就さんが真っ赤な顔で私たちを睨んでいる

チョップのせいで砕けたお菓子、ポッキーゲームは強制終了。彼の叫び声で我に返ったんだろう、他の武将も慌てて私と三成を引き剥がした



「なんてこと命令してんだ大谷っ!!!」

「片倉、われはこの遊戯を楽しんだだけよ。間違ったことはしておらぬ」

「テメェは石田のくじを見ただろ!?ruleを破った以上、この命令は無効だ!」

「ならば風魔の時点で止めよ」

「っ…もとはと言えばかような遊戯をしたいと申した貴様のせいぞ真田っ!!!」

「そ、某でござるかっ!!?」

『………』



大谷さんにくってかかったり真田くんを責めたり。割り箸はすでに床に散らばっていて、王様ゲームはこれで終わりらしい

結局…こうなる予感はしていたんだ


そして私は騒ぎに入ることはせず、ぽつんと座り込んでいる三成に近寄った

元就さんのおかげで寸止めで終わった…と思われているポッキーゲーム。だけど…



『大丈夫?三成』

「ぁ…え、…っその…!」

『…ちょっと荒れてるね。明日、リップクリーム買ってくるよ』

「え…」




つまりそういうことである






1111
リクエストより
ポッキーゲームor王様ゲーム

この日に書かないでいつ書くんですか…!


mae tugi

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -