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『おはようございます…あ、今朝は片倉さんが朝食当番ですか?』

「ああ…もうすぐできるさ、顔洗ってこい」

『はいっ』



いつもの時間に起きてきたら、片倉さんが台所で朝食の準備をしていた


最近は片倉さんと佐助さん、たまに政宗さんと小太郎くんが順番に朝食を手伝ってくれている。ただし政宗さんと小太郎くんは私が一緒という条件がなければ動かない

だから実質は私と片倉さん、佐助さんが朝食を作っていた。一番早起きな元就さんは手伝ってくれた試しがないけれど




『手伝いますよ。主に味見の方を』

「テメェはそれが目的かっ」

『だって片倉さんの作ったご飯、美味しいです。1日の活力ですよ』

「調子の良いこと言いやがって…」



呆れたように笑う片倉さんだけど、褒められたことは満更でもなさそうだ

そんな彼の隣に立てば美味しそうな卵焼きの匂い。料理番組顔負けのそれに、眠気なんか吹っ飛んでしまった



『…美味しそうですね、卵焼き』

「そりゃあ食わせろって意味か?」

『あ、その解釈で正解です!味見させてくださいっ』

「ったく…いい年した娘が…」



ブツブツと(オジサン染みた)文句を言いながらも、卵焼きの端っこを菜箸で取ってくれる片倉さん

で、彼が私を振り向いた瞬間に『あーん』と口を開ける。するとピシッと音がするんじゃないかってくらいに片倉さんは固まってしまった




「な、…!!」

『?』

「テメ、そりゃ、俺に食わせろって意味か…!!?」

『あ、はい。一思いに放りこんじゃってください』

「て、手は洗っただろ…受け取って自分で食えっ」

『え、だって政宗さんと佐助さんはこうしなきゃ味見させてくれませんよ?』

「あの二人は…!!」



まだ夢の中な主と忍にフツフツと怒りをたぎらせる片倉さん。菜箸がミシミシ悲鳴をあげている

…政宗さんは私が食べさせなきゃ味見してくれないってのは黙ってた方がよさそうだ




『片倉さん、卵焼き冷めちゃいますよ!』

「っ……」

『あーんっ』

「…………」





…………パクっ




『ん、やっぱり美味しいです!できたて万歳っ』

「そ、うか……雪子」

『はいっ』

「頼むから、口開けて無防備に迫って来んな…」

『…解り、ました?』




ちょっと脱力したような片倉さんが、菜箸を置いてお皿を取り始めた

私はそれをじっと見つめ…ふと思いつく



『片倉さん、片倉さん』

「あ?」

『はい、あーんっ』

「っ!!!!!!?」



私は卵焼きのもう片方の端っこ、それを菜箸で摘まんで彼へと差し出した

驚いて妙な体勢で固まる彼が可愛い。あ、ほら、片倉さんは味見してないと思って




「俺は、いい…」

『自分が作った料理ですよ?味見、味見っ』

「自分で食えるっ!」

『せっかくですから。今の片倉さん、両手がお皿で塞がってますし』

「っ……」

『誰も見てませんから、恥ずかしくないですよっ』



なおも渋り続ける片倉さんだけど、私も一歩も退かないから諦めたらしい

二人の身長差を埋めるため、私は腕を伸ばし彼は少しだけ屈む。そして…




…………パクっ




「…………」

『ほら、美味しいでしょ?』

「…………」

『片倉さん?』

「……味が、解らねぇ」

『えぇ−…』




私から視線をそらし呟く。ちょっと分かりにくいけど、耳が赤らんでいるような気がした

…可愛いですよ、片倉さん




『あはは…ちゃんと美味しいから大丈夫ですっ』

「…そうか」

『もう私、片倉さんに胃袋掴まれちゃってます。どうしましょう』

「女のお前が掴まれてどうすんだ?だいたい、雪子も料理得意だろ」

『片倉さんと政宗さんには負けちゃいます。片倉さんがお嫁に来てくれたら毎朝毎晩ご飯が幸せですね!』

「馬鹿か、来るならお前が嫁に来い」




…………………。




『…………あれ?』

「…………ん?」




今のは…




『……私たち、とんでもない会話、してましたか?』

「た、たぶん、な…」

『片倉さん…あの…嫁に来…』

「忘れろっ!!!!!」

『で、ででですよね!片倉さんジョーク!冗談ですねっ』

「っ……いや、別に、全部嘘ってわけじゃ…」

『え……』

「…………」

『…………』








「・・・・・」

「おはよー毛利の旦那…って、なんでこんな所で突っ立ってるの?」

「……入れぬ」

「はい?」

「かような甘ったるい雰囲気の場に、我は入れぬ…!!」

「???」






1007.
キリ番56789みや様
小十郎がドキドキイチャイチャ

胃袋掴まれたいです

 


mae tugi

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