You Copy?



『今日は特に面白そうな番組ないね〜』

「おう」



朝刊のテレビ欄を見ながら呟けば、机を挟んで前に座る元親が暇そうにアクビした

他の武将たちはテレビに群がり昼ドラを見ているが、彼はあまり興味ないようだ



『んー…真田くんや三成には見せたくないんだけどなぁ。これ以上女の子が苦手になったら困る』

「他人の生活見て何が面白いんだよ…」

『演技だよ、あれ。元親や真田くんならアニメ好きそ…あ』

「あ?」

『よし、DVDを借りてこよう!』









『…てわけで、これがDVD。この円盤を読み込んで、テレビに映るのよ』

「この薄っぺらいのが記録してんのか!?文字もねぇのに」

『うん、私も上手く説明できないけどね』



思い立ったが吉日。さっそくDVDプレイヤーを引っ張り出しアニメ鑑賞会の準備をする

真っ先にDVDに食いついてきたのは、やはりカラクリ好きな元親だった。何か起動させるたびキラキラと目を輝かせていた



『ちなみに、見るのはロボットアニメね。大きなカラクリがいっぱい出てくるの』

「ろぼっと?戦わせるのか?」

『現代少年の夢よ。よし、みんなー!今からアニメ見まーす!』






「伊達政宗!!貴様が何故、雪子様の隣を陣取っている…!!」

「早い者勝ちだろ?なんなら膝の上来るか、雪子…ぐっ!!?何しやがるっ!!!!」

「下がれ伊達政宗、貴様の頭でてれびが見えぬではないか」

『・・・・』



何だかんだで初めてのDVDに浮き足立つ武将たち。ちなみに私は三成達が喧嘩している間に、元親の隣に逃げている

片倉さんと小太郎くんが摘まむものを持って台所から戻ってきたので、そろそろ始めるとしよう



『アニメは役者じゃなくて絵が動いてて。子供から大人まで楽しめる日本の文化です』

「姫さんも好きなの?」

『大好きです。真田くんも気に入ってくれると思う!』

「そうでござるか…楽しみにしております!」

『ビバ少年の心!よし、再生っ』



手元のリモコンを押せば画面が動き出していく。30分アニメだが続けて見れば長丁場、今日はみんなで夜更かしだ

前置きが流れついにオープニング。主役の男の子が乗るロボットが起動した、次の瞬間−…!!




「「「「本多忠勝っ!!!?」」」」

『…………はい?』



ロボットが動いたと思えば武将たちは皆が皆、何故か身構えてしまった。特に三成。目が血走ったよ大丈夫?

しかも本多忠勝ってあの本多忠勝?え、これロボットなんですけど



「…本多が文化と言うか」

『あの大谷さん…本多さんって徳川家康の…』

「うむ、その本多よ。まさかここまで似ているとは」

『えぇー…』



それからは皆、食い入るように画面を見つめていた

やはり少年の瞳で本多さん(仮)を見る真田くん、元就さんも真剣に見つめているがきっと本多さん(仮)の弱点を探しているんだろう

政宗さんと片倉さんは陣形がなってないだの何だのと話している。みんな楽しんでて何よりです


そして私の隣でも…




「…………」

『元親、飲み物持ってくるけど何か…』

「…………」

『っ……ふふっ』



彼もじっとアニメを見ていた。私の声は聞こえていないようで、頭の中には設計図が広がっているのだろう

それにしても真剣な顔だ。たまに眉間にシワが寄ったり、かと思えばハッと何か思い付いたように頷いたり。ロボットの腕が壊れた時は、主人公と同じ表情になった




「…なに見てんだ?」

『あ、バレた?』

「そんだけ見てたらな。雪子はあにめ見ねぇのか?」

『昔、見たからね。元親見てた方が楽しい』

「っ…そうかよっ」

『うんっ』

「…………」

『…………』

「…………」

『…………』

「……やっぱ見んな」

『いたっ』



コンッと頭を小突かれた。少し居心地が悪そうに眉を上げる元親、やっぱ面白いよ



『どう?元親のカラクリと比べてみて』

「馬力も火力もまったく違う。これができたら本多忠勝にも勝てるだろうなぁ」

『本多さん最強!ロボットつくったら元親が乗り込むんだよね?』

「当然だろ!その時は雪子も乗せてや…るのはダメだ」

『えぇー…そこは乗せてよ元親っ』



急に意地悪なことを言うから、唇を尖らせ反論する…が様子が違う

元親は変わらず真剣な顔だった



「戦に使うカラクリに、雪子は乗せられねぇだろ」

『え…』

「戦終わって全部片付いたら、お前の乗れるカラクリつくってやるよ。この前てれびでやってた遊具とかな」

『遊園地のこと?…ねぇ、元親』

「あ?」

『今、すっごくキュンとしたんだけどどうしたらいい?』

「ははっ!惚れんじゃねぇぞ」

『それはない』

「・・・・・」

『冗談、冗談。でも、その前にみんなが帰る方法考えなきゃ』

「ああ、その時は雪子も…」



そう元親が何か言いかけた瞬間、テレビに映る本多さん(仮)がビームを発射した

それを見て大興奮な真田くんの声に、言葉の続きは掻き消されてしまう



「佐助!某も光線を出せるようになるだろうかっ!?」

「え、俺に聞いちゃう?毛利の旦那に教えてもらいなよ、鏡からギラーッて出すじゃん」

「…あれは日輪の加護ぞ。貴様には無理よ」

『ビーム出すんだ元就さん…』

「あいつら…黙って見てろよな」

『?』

「なんでもねぇよ」



苦笑した元親の表情はいつもの彼だった





0922
リクエストより
アニキとみんなでわちゃわちゃDVD鑑賞

結局はホンダムの話←



mae tugi

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -