You Copy?
『えっと…話して大丈夫かな、三成』
「…………はい」
三成と元親のごたごたが落ち着いた中、私たちは改めて現状報告を始める
ちなみに私の隣には所々に絆創膏を貼った元親。目の前には申し訳なさそうに項垂れた三成。その隣に大谷さん
…元就さんはお腹がすいたから、近くの座椅子で弁当を食べている。協調性皆無だな元就さん
『…とりあえず、改めまして。私は木下雪子、この家で一人暮らし。豊臣秀吉…に似た兄がいました』
「…長曾我部元親」
「石田三成です」
「われは大谷吉継よ」
「…………」
『元就さん含め、戦国武将が来ちゃったわけですが…とりあえず安心してください』
私は三成と大谷さんにも、この家に帰る方法が見つかるまで居て欲しいと告げる。大谷さんははじめからそのつもりだったようだけど、三成はハッと顔を曇らせた
「それはいけません雪子様っ!!!」
『いや、でも行く宛が…』
「貴女さまと長曾我部を同じ屋根の下に置くなど私は反対ですっ!!」
『あ、そっちか』
「石田…アンタより俺は先にこっち来てんだ。それに俺は雪子の兄貴代理だし、なぁ?」
『あ、うんっ』
「なっ−…!!貴様が秀吉さまの妹君と兄妹だとっ!!?」
「雪子は豊臣の妹じゃねぇよっ!!他人の空似だろ」
「貴様ぁ…!!!」
「やれ三成、しばし落ち着け」
「しかし刑部っ!!」
『三成…捨てちゃうぞっ』
「!?!?!?」
…途端に静かになった三成。私が大谷さんから授けられた魔法の言葉「捨てちゃうぞっ」。これは三成専用である
可哀想だと思うけど話が進まないし…何より近所迷惑だ
『…ここは戦国時代じゃないの。せめてここに居る間…仲良くできない?』
「無理です」
「無理ぞ」
『…うん、即答をありがとう三成、元就さん』
仲良く…は無理でも喧嘩はやめて欲しい。仮にも石田、大谷、長曾我部、毛利は豊臣に仕えた武将だったはず。武器を向け合うのは勘弁してよ
『…衣食住はなんとかするから。二人も気にせずくつろいでね』
「しかし、私は雪子様に仕える身…お世話になるのは不本意なれば…」
『んー…あ、ほら、掃除とか手伝ってくれたらいいよ』
「三成は不器用ゆえ、家事では使い物にならぬ」
「う゛……」
『あぁ…じゃあ買い物の荷物持ち、とかさ。ね?』
「は、はいっ!!雪子様に箸以上重いものは持たせられませんっ」
『えぇ−…』
仕事を与えられて嬉しいのか、キラッキラな目で私を見る三成。元親は笑いを堪えて震えてるし、大谷さんは気にせずヒィヒィ爆笑してる
そして元就さん…まだ食べてるし。食べるの遅いよ
『あ…そうだ、晩御飯。元親、買ってきた弁当食べなよ』
「おうっ」
『二人は…まだ、だよね?』
「私は食べずとも平気で…」
『何か残ってたかなぁ』
「っ!!!?」
断りを入れようとした三成を遮り、私は台所に歩いていく。冷蔵庫の中は…うん、さっぱり。綺麗すぎる
『もう一度コンビニ行くか。三成、一緒に来てもらっていいかな?』
「はいっ!!!」
『大谷さんは…目立つので、留守番お願いします』
「…致し方ない」
『新しい包帯とかも買ってきますよ』
「っ……」
『あ、先に三成の着替え…きっと兄さんのは大きいよね』
彼は身長は高い…けど薄い。とにかく細い。きっと私のTシャツなら入るだろう、悲しいけど
『私の洋服…いや、着物でもいい?』
「なっ−…!!雪子様、の着物…わ、私が着るなんて、恐れ多っ…!!」
『や、でも元就さんも着てるし』
「なに…!?」
「…………」
ギロリと三成の鋭すぎる視線が元就さんに向けられる。彼も彼で「言うんじゃねぇよめんどくせぇ」って感じの目線を私に送ってきた
あー…あー…よし、私だけで買いに行こう、そうしよう
『大谷さん、三成をお願いします』
「あい、わかった…して、雪子」
『はい?』
「…ヒヒッ、いや、かまわぬ。夜道には気を付けよ」
『あ…はぁ』
大谷さんに見送られ私は本日2度目のコンビニへ。背中に三成の怒号を聞きながら…ああ、賑やかに、なってしまったと
『…豊臣秀吉って…あんな人たちをまとめてたんですか兄さん…』
俺は知らない、と兄さんの声が聞こえた気がした
mae tugi