We Copy !!
「はぁ……」
「やれ、如何した太こ…吉郎」
「吉継…三成は何とかならないのか?」
「ヒヒヒッ!!不躾な質問よなぁ」
クツリと笑って誤魔化してみるが、目の前の大男は顔をしかめて拗ねたようだった
これはまた…長年の付き合いでなれてしまったが、はるか昔ならば考えられない表情である
「ヒデヨシサマとあだ名で呼び、二言目には雪子と共に居る許可を求めてくる…」
「律儀ではないか。今時、付き合いに保護者の同意を求める男など居らぬわ」
「三成だけではない…雪子の大学の輩や友までだ…いったい俺の知らない間に、何処で知り合った」
「…………」
ぬしの居らぬ間によ、と喉まで出かかった言葉を飲み込む
この男にそんな記憶は無いのだ。かつてある男に敗れ、また次の世では不運な事故にあい…いや、後者はまだ起きていないだけか
「ヒヒヒッ、ぬしの妹もよい年よ。男の一人や二人は居ってもおかしくはない」
「それはそうだが…俺としては、成治や前田と…」
「身内で固めるか。余程の心配性よなぁ」
「…まだ元就ならば許せるか」
「それはならぬ」
「…吉継?」
「嗚呼、いや…アレは頭のカタイ男よ。雪子に合うとは思えぬなぁ」
着実に雪子を狙う毛利
馬鹿正直に挑む三成
他の奴等もそれぞれが前世の約束のもと、今世に集っているのだ
思いの外困ったものだと、男は再び小さく笑った
「吉郎!…ああ、吉継くんと一緒だったのか」
「成治殿…ヒヒヒッ、ぬしの話題でもあったのよ」
「僕かい?」
「成治、雪子はどうだ?昔からお前とは喧嘩ばかりだが気は合うだろう?」
「ふふ、何の話かと思えば。僕はいつでも雪子を貰っていいんだけどね」
君の義弟になれるなら、
その返答に顔を見合わせた二人は、やはりまだまだ先の話かとため息をついた
「ん…ああ、そうだ吉継。またうちに夕飯にでも来ないか?」
「む…よいが…ぬしと妹の邪魔になるのではないか?」
「いや、実は三成や伊達…いつもの連中も一緒でな。俺だけでは駆除…いや雪子を守れない」
「駆除と言うたなぬし。妹好きも大概にせよ」
「何を言う!全員が雪子を狙っているのだぞ、もしお前までそうなってしまったら…俺は世界を敵に回しそうだ」
「大袈裟な…まぁ、微力ながら協力はしよう。牽制程度になぁ」
「ああ、頼むぞ吉継!」
「…………」
さて…困った
この様子からしてあの妹君は、自分とたまに散歩を楽しんでいることを兄に伝えてないらしい
もしバレてしまえば自分もこの男の敵の一人になるか、それともお前ならばと言って貰えるのか
「まぁ…しばし秘密としておこう」
クツリと笑うのとほぼ同時に、短い昼休みが終わった
「…して、暗も誘うか?」
「官兵衛か?…知らないならば誘わずとも…」
「聞こえてるぞっ!!?」
「…空気の読めぬ男よなぁ。お呼びでないと察せぬか?」
「何故じゃぁあぁぁっ!!?」
20131021.
小十郎含め、兄さんと刑部は同窓生トリオになります←
mae tugi