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「今日は雪子様の命により、貴様の勉強を見てやるわけだが…」

「お頼み申す石田殿っ!!」

「……何故、貴様もここにいるのだ風魔」

「(笑)、(笑)、(笑)」

「インテリで高学歴な自分が教えた方が分かりやすい、だと?貴様のどこがインテリだっ!!」

「な、何故、風魔殿の心内が…?」

「勘だっ!!」




畳の部屋の中央で、机に広げた参考書を囲む私たち

真田の実家に押し掛けた私と風魔は、つい昨日、雪子様より大切な命を受けた




『三成…真田君が高校卒業できないかもしれない、どうしよう…!』









「雪子様に心配をおかけするな真田幸村ぁあぁあっ!!!貴様は私が責任をもって卒業させるっ!!」

「……………」

「た、頼もしいような恐ろしいような…!そして風魔殿の持つ参考書が分厚すぎでござるっ!!某、もう少し初級からお頼みしたいっ!!」

「甘えるな真田っ!!雪子様と同じ大学に進みたいならばしぬ気ではげめっっ!!」

「雪子殿と…!某っ!!必ずや雪子殿と同じ大学に合格してみせるっ!!」

「(笑)、(笑)、(笑)」

「大学合格の前に高校卒業目指さないとな、と風魔は言っている」

「う、うむ…!」



















「何故、この程度の問題が分からないっ!!」

「う゛っ!!い、痛いでござるっ!!どこがどう違うのか教えて頂きたいっ!!」

「全てだっ!!もちろん値もっ!!使う公式もっ!!単位でさえもっ!!貴様は高校で何を学んできたっ!!!」

「う゛ぅぅ…不甲斐なしぃ…!」




一時間かけ真田が解いた数学の問題は、見事なまでにバツが連なっていた。よくここまで高校生活を続けられたものだ

初歩的な問も答えられていない。本人が懸命に解いていたのは一目瞭然だが、成果が出ていないのだ、成果が


頭を抱え唸る真田を後目にすでに風魔は諦めたのか、ノートパソコンを開き己の仕事を始めている。貴様何をしにきた




「…これまでのテストはどうやって乗り越えてきたのだ」

「ぜ、前日、佐助と共に徹夜を…」

「………………」

「なら佐助を呼んで教えてもらえばいい、だと?ならんっ!!雪子様より、真田を卒業させろと命を受けたのは私だっ!!私が必ず卒業させるっ!!」

「石田殿…!そ、某もその気持ちに応えられるよう努めますぞぉおぁあぁあっ!!!」

「私の期待に応えてみせろっ!!ここはこの公式を使えっ!!!」

「うむっ!!!」

「次は地理だっ!!貴様の頭に地図を叩き込めっ!!」

「うむっ!!!」

「(笑)、(笑)、(笑)」
















「お、終わった…!」

「…休憩にするか。続きは10分後だ」

「じゅ、10分か…いいや、こちらこそお頼み申すっ!!」

「………………」




机に伏せ脱力する真田の前に、風魔が茶の入った湯飲みを置く


真田が全教科の半分を解き終えた時、空はもううっすらと暗くなっていた。茶を飲み干し深く深く息を吐く

…真田にしては集中力が続いたのではなかろうか。あくまでも真田にしてはだが、本人のやる気の賜物だろう




「その調子を続ければ、貴様もあの大学へ進めるだろうな」

「ま、まことか石田殿っ!?某、雪子殿と、もちろん石田殿とも同じ大学へ通えるのだなっ!!」

「雪子様だけではない、秀吉様も卒業された大学だっ!!生半可な気持ちで向かうことだけは許さんっ」

「もちろんでござるっ!!」

「………………」

「風魔殿にも感謝致すっ!!共に大学へ行けぬのは残念だが、必ずやこの恩お返し致すっ!!」

「…………(笑)、」

「礼は無事卒業してから言ってくれ…だそうだ」

「た、確かにっ!!!」

「そろそろ時間だ、続きを始めるぞ真田っ!!次は生物だっ!!」

「おおっ!!某、生物は得意でござるっ!!張り切っていきますぞっ」

「………………」




互いに同じ教科書を開き、勉強を再開する私と真田

それを眺めせいぜい頑張れよと肩をすくめる風魔だが…この男、心の内では己だけ学生でないのを悔しがっているようだ

























「あ、大将からメールきた」

『真田君ですか?あ、そっか。今日は三成と小太郎君が勉強教えてあげてるんだった』

「え、それ大丈夫なの?石田の旦那にしばかれて、助けを求める内容かな…えっと…」

『何て書いてます?』

「…風魔殿にも学ランを着せてやってくれ、てさ」

『……何をしてるんでしょうか』

「……もう一回言うけど、これ大丈夫なの?」





20151217.
ワンコトリオは仲良し


mae tugi
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