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「―…だから許せるわけがないだろうっ!?お前は雪子を殺す気か慶次っ!!」

「俺が一緒に行くし死なせない!このまま元親と家康が戦うのを黙って見過ごせないんだ!」

「今頃全て終わっている!行っても無駄だっ!!」

「っ―…かすがちゃん!」

「あ…!」

『………』



口論となっていた前田とかすがさんがピタリと黙る

うつ向く私は…政宗さんから聞いた話を、彼らにも伝えたんだ



『もう…元親は、家康くんを…』

「そ、そう決まったわけじゃない!今のは可能性を言ったまでだっ」

「そうだよ雪子、だからこそ悩んでる間が惜しい!早く家康の所へ行こう!」

「バカを言うな!戦をしていると分かっている場所に、雪子を連れて行けるわけがない!」

「俺だけが行ったって止められないんだ!だから一緒に―…!」

「おやめさない、ふたりとも」

「っ―…!」

「謙信さま…!」



ずっと此方を傍観していた謙信さんが、ゆっくりと言葉を紡いでいく

静かに低く…それが更に緊張感を高めた



「たしかに…けいじのいうように、いそがねばなりませんね」

「だろっ!!?だから…」

「しかしまた、きゃくじんを いくさばへおくるわけにはまいりません」

『謙信さん…私は…』

「とよとみのひめ…みらいをしる あなたがえらぶみちが きっとただしいのでしょう」

『………』

「しかしときには、あやまったみちを えらばねばならぬときもある」

『っ―……』

「…それが…あなたのためならば」




わかってほしい、と言った謙信さんは視線を私から彼女へ移す

泣き出しそうな顔で私を見るかすがさん…謙信さんも私も、この人を悲しませることはしたくないのに



『…………』




“オレらを、見届けに来たのか…?”



政宗さんの問いかけへの答えは、もうすでに決めてあった








『…行ってきます』



小さくなった城を振り向き、私はここで出会った友人に別れを告げる

手には蔦の印籠と少し前に貰っていた周辺の地図。黙って出てきたはずなのに、私は何度か振り向き出かけの挨拶をした



『…行ってくる、か』




そう言った兄さんは帰って来なかった

きっと秀吉さんも帰って来なかった

彼らは何気なく言ったのだろう。でも私は違う、行ってきますは約束だから



『…見届けるだけかもしれません。でも、それじゃ納得できないんです』



彼らが私の元へ現れた意味が



『ここで止まったら本当に、夢で終わる気がするんです』



彼らと過ごした毎日が



『だから―…』



私を、行かせてください




『かすがさん…』

「…………」



城に背を向ければ目の前で綺麗な金糸が揺れる

夜の月と同じ、かすがさんが私を黙って見つめていた




『ごめんなさい…やっぱり私、行きます』

「…慶次はどうした」

『前田には言ってません。内心、本当は反対してると思いますから…』

「そうか…お前は戦を知らない、無情かもしれないが行っても全て…終わっているはずだ」

『…………』

「そもそも、お前一人で辿り着けるのか?」

『…………』

「…城へ戻ろう、頼む」



必死な彼女の声。でも私だって退きたくない

そう言えばかすがさんは力ずくで私を連れて帰るだろうか。それとも共に三方ヶ原へ?




『…できません』

「雪子…!解らないのかっ!?毛利がお前を越後に向かわせたのはお前を守るためだ!伊達が越後に来たのはお前をここから出さないためだ!」

『…………』

「徳川と長曾我部の話を知れば、私や謙信様がお前をここから出さないと汲んで…!」

『かすがさん…』

「っ―…夢で会ったお前は…もっと弱かったはずだ…なのに、何故…!」

『…それはかすがさんのお陰です!だから私は…側に居ることを選べました!』

「っ―……!!」



側に居たいのは私のワガママだ。それでもいいと、悩む必要はないと、教えてくれたのは貴女です

それに私は今が、松永さんの言っていた来るべき時だと思ってる



『私は、かすがさんも女の子の幸せ、掴めると思いますよ』

「なっ―…!?」

『戦国時代のその先には、長い安泰が待ってますから!』




そんな“明日”に、彼らが居ますように…




『全部が終わったら、また会いに来ますよかすがさん!』

「っ、待て雪子っ!!!」

『っ―…!』

「ぐっ…!!?」




かすがさんが手を伸ばした瞬間、地面に降り積もった雪が風で舞い上がる

身構える彼女、対する私はフワリとした浮遊感と回された腕に安堵する



動くべき戦が来れば―…




“風魔を迎えに出そう”




『小太郎くんっ!!!』

「…………(笑)」

「風魔っ!!?まさか、本当にお前が…!」

「…………」

『…………』




小太郎くんが迎えに来てくれた。やっぱり、松永さんの言っていた来るべき時は今なんだ

…見届けるためじゃない



『かすがさん!行ってきます!』

「雪子っ!!!」

「…………」





私の役目は何でしょう、






20130721.
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さぁ、シリアスターンですよ!再会とか繰り返しますよ!





mae tugi

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