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私に彼氏ができたとき、真っ先に報告したのはいつも真護にだったかもしれない。

決まって私は年下だったり可愛い顔をした男の子と付き合い、すぐに別れた。
年下とか弟属性とかを好きな人もいるのだろうが私は別にそういった幼さを持った異性が特別好きだったわけではない。ただ周りから見れば私は年下好きに見えただろう。そうすれば私が真護に興味がないとわかるだろうから。付き合っていた子たちには悪いが、そういう事なのだ。
あの冷ややかな嫉妬の炎が灯った視線から逃れるために私は最低なことを繰り返していた。

それが友人には違って見えていたらしい。
真護と付き合うことになった、と事実を隠して伝えれば彼女はなぜかとても喜んでいた。


「やっと付き合うことになったんだ!」


「…やっと?」


彼女曰く、私が真護とは真逆の男の子たちと付き合っているのは真護の気を引きたいようにしか見えなかったらしい。
私がこれまでしてきたことは何も効果がなかったのだと、むしろ悪化させていたと今初めて気が付いた。もっと早くいってほしかった、と嘆いたところで仕方がない。
それに、偽物とはいえ今の彼氏は真護なのだ。他の男の話はやめた方がいいのではないか、と思う。
なのに彼女は昔の話をするものだからこちらは泣きたくなる。


「あんなに可愛い子好きだったアンタがあの金城君と、ねぇ?」


「まぁ、確かに真護は可愛いっていうよりカッコイイって感じなのかもしれないけど…」


「おお、早速惚気ですか!」


「……」


ただ素直に客観的な感想を述べただけだというのに、恋人という肩書があるだけで惚気になってしまうのか。恋、とは恐ろしいものだな。

その後彼女はキスはしただとかデートはどこに行くんだとか聞いてきたが、付き合って一日目でそんなに深い関係になるわけもなく(そもそもそういったことはしない契約だ)、しばらくは幼馴染と変わらない関係になるだろう、と適当にごまかした。

彼女はおしゃべりが好きではあるが一応空気が読めるようで、この噂が瞬く間に広がる、なんてことはなかった。しばらくは互いの共通の友人の間だけの小さなネタとしかならなかったが、それはある日突然広がった。


「…これはまたベタな」


朝教室に入ると私の机の上に花瓶が置いてあった。普段は教室のロッカーの上に飾っているものだが、きっと花の水を変えた時にそのまま近くの机に置いて誤って放置してしまった、とかではないのだろう。クラス中の視線が突き刺さる。みんな見て見ぬふりをしていたのだろう。気が付いたのなら退かしてくれればいいのにそれもしないという事はこれはもう完全に悪意だ。

真護から何かあったら言え、と言われているので後で連絡しようと思う。今携帯をとりだろうものならへし折られそうなプレッシャーがある。
真護にこれを報告するときは少し話を盛って思いっきり泣きついてやろう。「悪化しているじゃない」と。
少しは狼狽えてくれるだろうか、私の恋人は。
嫌がらせが気にならなくなるくらいに、幼馴染の反応が楽しみになる。

あれ、これってもしかして恋人ごっこの成果だろうか?
きちんと守って(?)くれてるのかもしれない、と思わずにはいられなかった。








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