愛情表現ってなんだ

「ちょっと待て!」

「はっはっは。」

笑いながらこっち来てる。めっちゃ怖ぇよ。部屋の中をぐるぐると歩く。

「落ち着け、三日月宗近…話し合おう。」

「落ち着いておるぞ?何を話す必要がある?」

朝っぱらから命の危険。俺はどうすれば。


「俺らは家族じゃないのか?」

「…え?」

歩く足をとめた。

家族…家族?!俺らは家族なのか?主って元々どこのポジションなんだ?

親か?ここの本丸にいる以上一緒に過ごしてるから家族同然…?

「なるほど。」

「わかってくれたか?」

「なんとなく。」

「ならば…!」

パタパタと駆け寄って来る。俺は三日月宗近の頬にキスをした。

「…!」

三日月宗近はキスした頬を抑えて驚いた表情をしていた。

うん、三日月宗近とは同じくらいの身長だな。

「おはよう。」

「…うむ、お早う。」

急に静かになった。数分前の勢いどこいったんだ。

「…足りないな。」

「は?」


「えーっと三日月?」

こいつ、危険だ。逃げるか。

「…俺も挨拶をしようとしてるだけだぞ?」

「そうだよな、それだけだよな。わかってる。」

早くしろ、と言って構えた。三日月宗近の顔が近づいてきてコツンと額と額を当てた。

「はい?」

…何やってんだ。

「ははっ、やはり主は面白いなぁ…」

この状態のままで話さないでくれ。

「それはどうも。」

「流石に朝方からは襲わんぞ?爺にはきついのぉ…」

「そうか。」

ひとまず安心ってことだな。おかげで眠気吹っ飛んだ。

「…主。」

「なんだ?」

額をくっつけたまま目が合った。

「俺は今、主が大切な存在になったぞ。」

スッと離れて裾で口元を隠した。

全然理解できない。

「あ、主…一緒にお茶を飲まないか?鶯丸もいるぞ…」

「あぁ、せっかくだからな。」

三日月宗近はなぜか焦っていた。こいつの行動がわからねぇ。一体何をしたかったんだ。


「三日月宗近。」

振り返った三日月宗近の腕を引いて正面から抱きしめた。

「主…?」

三日月宗近の肩口に顔を埋めると動揺の声が聞こえる。力を緩め顔を覗く。

「これもまた、愛情表現の一つだ。」

うっすらと赤く色付く頬を撫でた。

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