お偉い様

と、いうことで。

今から突撃しようと思いまーす。

「…しょ、正気ですか?!」

「当たり前だ。こんのすけだけに責任負わせるわけにもいかねぇし…」

今、政府本拠地の玄関前にいる。

自動ドア式だから、すぐに強行突破できるぞ。

「審神者さま…!!し、しかし、そのようなことはしない方が…」

「心配しなくてもいい、行くぞ。」

「なりませぬー!!」

「?!こらっ、引っ張るな!!」

こんのすけは、俺の服の裾を口で、力いっぱい進行方向の反対側に引っ張った。

破ける!!服破ける!!



「わー!!せんせーだ!!」

「…ん?」

…ちょっと待て。

うちの保育園で預かってる子が、玄関から出てきたんだが、

気のせいだよな?

「おーい、ユリ!!勝手にどっか行ったらダメだろう?」

「パパ!!せんせーいるよ!」



「…佐々木さん?!」
「お偉い様?!」



「は?」

ユリちゃんを迎えに来る、お父さんじゃねぇか!!

俺、毎日世間話してる人だぞ?!

「海崎先生、昨日ぶりだね。」

「こ、こんにちは。」

この人が、お偉い様…?!





「え?!審神者やらないの?!」

佐々木さんは、驚きすぎて、先ほどまで飲み物が入っていたコップを落としそうになっていた。

「…はい。」

いつも通りの方がいいよな…?

…こんのすけ、緊張してガチガチだし…

「…(見た目が)子ども、たくさんいるぞ?」

「…え?」

「こんのすけから聞いてないのかい?」

いきなり呼ばれた名前に、ビクッとしていた。

「えっと、あの…わたくしは…」

「すみません、俺が聞いてなかっただけです。」

さっきと同様、膝の上に乗せた。

…少しでも落ち着ければいいんだが。

「そうかそうか!海崎先生ならやりかねんしな!!」

「申し訳ないです…」

陽気な人だ…

「…んで、行く気になったかい?」

…言葉が、見つからない。



「…私はね、ずっと君のことを見ていたんだよ。

海崎先生なら、あの子たちを任せられるなぁと思ってな。

どうだ?体験程度で行ってみてもいいではないか!」

「……。」

…この人にはお世話になってるし…

現在、保育士が人手不足と言うが、

多分、審神者も不足してんだよな…?

そうでもねぇと、俺なんかを誘わねぇと思うし。

「…少しだけなら…」

「審神者さまっ…!!」

「おおー!!さすが、若いっていいねぇ。」

一人と一匹が感動していた。





――――――――――――――――――――――――



「そこの黒いのぉぉおおおおおお!!子どもに手ぇ出してんじゃねぇぇぇぇぇえええええええ!!」

…今に至る。

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