変人・高橋と大学で出会っ
たのは昨日のことだった。
の時は、変人・高橋にかけ
てやる言葉など存在しえな
いと判断し、やり過ごした
のだが、状況は一変した。
「島田って、高橋と仲良かっ
たよね？」
「あきちゃん？あなたは何を
言っているの？」
「先週、アンタが休んだ実験
の講義の相手、高橋だから」
「なんで？！あきちゃん、私
の分やっといてあげるって
‥。だから晩ご飯奢ったん
じゃん！」
「状況は移り変わるものなの
だよ、島田」
「ご飯泥棒！」
「なんとでも。兎に角、島田
は高橋に実験結果聞かない
とヤバいよ。来週提出だか
らね」
そういうとあきちゃんは逃
げるように私の前から消え
た。
「高橋とレポートなんて‥。
まさに地獄だ」
「島田。またお前は地獄に堕
ちたのか？」
うなだれているとタイミン
グよく変人・高橋が現れた。
「高橋‥。ちょうど良かった。
先週の実験結果教えて」
「今は無い。それより、また
地獄に堕ちたのか？」
お前はどんだけ地獄に興味
があるんだよ。
「堕ちてないから。実験の結
果いつなら教えてくれんの？
今日は？」
「今日はダメだ」
「えー。レポート来週提出だ
よ？高橋はレポート終わっ
たの？」
「まだだが」
「なんだ、まだか。じゃあ、
一緒にやろうよ。あたし実
験してないから内省報告難
しいし」
「いいけど今日は無理」
「それはわかったから」
「‥なんでだと思う？」
ニヤニヤしながら高橋は聞
いてきた。はっきり言って
興味なし。
「‥デート？」
無いだろうけど。
「さすが島田だな。なぜわか
った？」
ちょっと待て。
あたしはこないだ彼氏にフ
られたばかりで、しかも二
股かけられて捨てられたの
に、な、ん、で、変人・高
橋に彼女がいるのよ！おか
しいじゃない！
「‥妄想でしょ？」
「なんだ、僻みか」
いっぺん、シネ！