アビスED後わちゃわちゃ
2017/01/23 13:44






『生誕祭とかさ、大きく祝われるのって恥ずかしいんだよな。だからみんなだけで小さいパーティしたいんだ。父上の許可も貰ったし、良かったら来てくれよな。アッシュも待ってるぜ。 ルーク』

寄越された手紙に目を通してデスクの引き出しに入れる。普段は使わない、少ししかものが入っていない引き出しに、だ。懐かしさから自然と目を細めた。

「あの子らしいですねぇ…」



赤毛の英雄の生誕祭の数日前、準備で賑わうバチカルには普段は地方にいるはずの世界を救った英雄達が集まっていた。
幼馴染みで使用人だった現伯爵のガルディオス伯爵。
マルクトで死霊使いと恐れられた皇帝の直属カーティス少佐。
それにローレライ教団復興に力を入れ功名高く次期導師としても多くの推薦を受けるタトリン奏長。
ユリアシティで影ながらに教団を支えキムラスカ、マルクトの架け橋グランツ響長。
また英雄達の聖地へと向かう足となった世界に三人きりのパイロットのうちの二人、ギンジにノエル。
この豪華な来客に街の人々は祭の準備も思わず止めて英雄達を是非目にしようと集った。予想通りの歓迎を出来るだけ避けるようにしながらも英雄達は城を目指す。上層へ向かう昇降機の前でようやく白光騎士団が民衆を散るようにと押さえてくれ、一同は静かな昇降機の中で一息ついた。

「いやーすごかったな」
「おいらびっくりしました…アッシュさん達ってとってもお偉いさんだったんですね」
「ギンジさん知らなかったのぉ?あ、アッシュは自分が王族とか言わなそうだったしね。ま、仕方ないか」
「うぅ…」
「お兄さん何回言ったってアッシュさんが還ってくるまで上の空だったんだもの。還ってきたらきたで聞いてないし…自業自得よ」
「ま、まぁ…、そろそろ着くはずだから、ナタリアと会えるはずよ」
「ナタリアとは久しぶりだなぁ〜」

ガタン、と大きく音を立てて止まった昇降機を降りると、ナタリアと白光騎士団がそこにいた。久しぶりですわね、と言ってナタリアは微笑んで、アニスが飛び出したのを筆頭にぞろぞろと昇降機から出た。

「上でルークとアッシュが待ってますわ。行きますわよ」
「はいはーい」
「ナタリア…その、今日のドレスとても似合っているわ」
「あら!ありがとうティア。二人も誉めてくださったの」

きゃらきゃらと花を飛ばす女性陣に続きガイとジェイド、ギンジとノエルも次の昇降機に乗る。白光騎士団はどうやら場所を取るためかはたまたナタリアを護衛するのはここまでで良いと言われたのか、昇降機に乗らず動く昇降機に向かって敬礼しているのをガイは見た。

「ガイ。どうかしましたか」
「ああ、なんでもないよ。それより元気だな、お姫様達は」
「女性は喋らずに生きてはいられないといいますしねぇ」
「それわかります!ノエルだってずっと」
「お、に、い、さん!」
「…ごめんなさい…」
「ははっ。ノエルは少し俺の姉上に似てるな」
「えっ…と、ガイさんのお姉さん?」
「ずっと前に死んじまったんだけどな。よく俺のこと叱ってたんだけど、その分優しくしてくれたのさ」
「あ…すいません…」
「いやいいんだ。ギンジのこと好きだから怒るんだよな。仲がいいんだなと思って」

まーたやってるよ、とアニスは後ろに耳を傾けながらも顔には出さなかった。ただガイに言われ恥ずかしそうに赤面する兄妹を見て、兄弟っていいなと思ったりした。弟ならフローリアンがいるかな、とかも。

「着きましたわ」

またガシャンと音を立てて昇降機が止まる。階段を登れば広い庭に出、右には城が、正面にはファブレ家の玄関が見える。玄関からは二つの赤毛がこちらに向かって来るのが見えた。

「みんな!」
「引っ張るなこの屑!」

昔と変わらないような会話に一同は揃って笑いを漏らした。ナタリアは出迎えくらいきちんとなさいと怒り、ガイがまぁいいじゃないかと宥めた。

「あー、本日はお忙しい中わたくし達のために時間を割いてくださりありがとうございます…」
「ルーク…立派になったなぁ」
「そうか?へへっ」
「頭ぐらい下げれたらもっと良かったんだがな」
「うっ…いいの!アッシュも挨拶しろよ」

ガイがいつも通り甘やかす中、アッシュが釘を刺す。不貞腐れたルークがアッシュに振ると、少し迷ったのちに優雅に頭を垂れてルークとは比べ物にならないくらい丁寧な歓迎を成す。それを真横で見ていたルークは不機嫌そうだった。

「…ご足労感謝します、皆様方。どうかごゆるりとお過ごし下さい」
「さっすがアッシュ、お貴族様ぁ〜」
「黙れチビ」

外で話すのも何ですから、とナタリアに促されて皆でファブレ家のきらびやかなゲートをくぐりメイドに囲まれて玄関に入る。赤い絨毯がひかれた広い玄関はギンジとノエルにあらためて緊張感をもたらした。アニスは「相変わらずひっろーい」などと言っていた。ティアもどちらかと言えば居心地悪げであったが初めてで無いだけましだといった感じだ。ガイやジェイドは見慣れた様子で頭を下げるメイドに軽く会釈しながら進む。

「とりあえず客間にいてくれよ。アッシュと確認してくるからさ」
「誰が客間まで連れてってくれるのかい?」
「あ…そっか。ガイもお客様だもんな。じゃあ俺が案内するから、アッシュ確認頼んでいいか?」
「好きにしろ」
「んーあんがとー」

ひらひらと手を振るルークを見てからアッシュは一人で中庭に最終確認をしに行く。それを見届けたルークは皆を連れて客間に移動する。適当に座っててくれよ、なんて言う部屋には来ることがわかっていたからかベッドとソファ、それに椅子がいくつかおいてあった。

「ん?どこ行くんだルーク」
「アッシュんとこ」

皆が一先ず落ち着いたのを見てからルークもアッシュの元へと向かう。主催がいなくなった部屋で残された客達はプレゼントについて談笑していた。何だかんだで全員きちんと二人分(ただしギンジとノエルの二人は二人で二つだったが)用意していて、それがまた面白可笑しかった。




「お茶オッケークッキーオッケー、あとケーキは後でと」
「俺が全て確認したぞ」
「俺がもっかいしたいだけ。椅子も人数分あるしフォークも綺麗っと」
「…お前は服装を正せ」
「やーだよ、苦しいし。それに、こっちのが俺らしいだろ?アッシュはピシッとアッシュらしいし」
「……。意味がわからん」
「ええー」

随分と打ち解けた赤毛は冗談を言い合う仲までになっていた。半分は冗談でないが。元が同じだから似ているのかとも思ったが、二人が違った人であるのは二人とももう理解したことであったからそんな考えは空の彼方に置いてきた。今頃同位体の集合体が抱えて大事にしているであろう。

「じゃ呼ぶか」
「ああ…」
「ほらアッシュも」
「なっ…屑!」
「はいはい屑ですよー」
「くそっ」

玄関の時のように片方が片方の腕を引いて客間を目指す。思ったより長く外にいたせいか、戻ってドアを開けるとみんなしてプレゼントを差し出してきて、赤毛達は照れたり騒いだりと大忙しだった。



「はーい、アニスちゃんの焼いたカップケーキでっす!みんな一個ずつだけどどうぞ〜」
「アニスさんお料理上手なんですね!羨ましいです…」
「ノエル知らなかったっけ?良かったら今度教えたげるよ?」
「本当ですか!是非お願いします!」
「あの…良かったら私にも教えてくれない?アニス」
「いーよ。ただし食材は持参してよね二人ともっ」
「ええ」
「はい!」




20140101
みんなでわちゃわちゃしてるやつ。方向性を見失った。
アビス尊い気持ちが溢れてたか、○周年記念で上げようとしていた。覚えてない。


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