222!
「…忍足。」
「なんや跡部?」
「その手に持ってるモノは何だ。」
「これ?がっくんやけど?」
忍足の腕にすっぽり埋まっているそれは、やけに小さくなった向日岳人である。
サイズも異常だが頭と尻にあるはずのないものがついている…いや生えている。
「…その耳と尻尾は一体どうした、」
あんなものが人間に生えるわけないだろアーン?
「これ?猫耳と尻尾や!」
ゲシッ
やけに自慢気に言い放った奴をとりあえず蹴り飛ばす。
「痛い!何するんや跡部!」
「てめぇがふざけたことぬかしやがるからだろーが!」
事のいきさつを聞けば、昨日岳人が忍足の家に泊まりに行き朝目が覚めたらこうなっていたらしい。
「ほんまや〜何で信じてくれへんの〜?」
てめぇの胸に手を当ててよく聞いてみろ!
どうも胡散臭くて仕方がなかったが、現に向日がこの状態なのだから信じるしかない。
「…で?」
「でって?」
「どうやったら治るんだ。」
「さあ?」
怒りを通り越して呆れ果てる。
こいつ…絶対楽しんでやがる。
「がっくん〜♪ええこやなぁ。にゃーって言うてみ?」
忍足が喉を撫で上げるとゴロゴロ鳴くその姿はまさに猫そのもの。
途端、向日がゆるゆると目蓋を持ち上げた。
「…くしょくしょゆーし!早く戻すにゃ!」
突然喋り出した姿に唖然とする。
「やから、俺は知らんって言うとるやろ?」
耳と尻尾の毛を逆立て忍足にパンチを食らわそうとしているが、その短い手足では敵わない。
「こにょっ…!」
「がっくんじっとしぃやー?暴れたら落ちるで?」
落ちる、の言葉に反応したのか耳をピンッと立ててぎゅっと丸くなる姿に思わずほっこりしてしまう。
「ま、とりあえず今日はこの状態やから部活も出来へんからよろしく頼むで跡部。」
よいしょ、と向日を抱き直した忍足はそう言うと颯爽と帰路へついてしまった。
あいつ…
「ただ見せびらかしに来ただけじゃねぇのか?アーン?」
次の部活は覚えてろよ…忍足。
てめぇにだけ特別メニューを用意してやる…!
後日問い詰めようと誓いながら、
「…滝が猫耳。」
よからぬ妄想を膨らませる跡部だった。
……………………………………
にゃんにゃんにゃんの日!
…には間に合わなかったけど猫がっくんうまうま(*^o^*)
跡滝がすきです。
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