キタコレ文化祭03
連れて来られたのは、さっきまで俺達がサボりに使っていた特別棟の空き教室。
「よ…よこたん?」
ほんの数分前まであんなにまばゆいほどにキラキラした笑顔をしていた横田の顔は、今や表情筋を使い果たしてしまったかのように無表情だ。不機嫌オーラ満開ともいえる。
ここに着くまでの間も終始無言のままで、唯一の救いは繋がれた手を振りほどかれなかったことだろうか。
「横田、さっきはありが…っ!?」
お礼を最後まで言えなかったのは、言葉を紡ぐ器官を塞がれたから。もちろん横田の唇で。
「っんぅ」
壁に押し付けられ、足の間に足を入れ込みながらキスをされた。呼吸をも塞ぐように濃厚に舌を入れられてあまりに興奮してしまい、ここが学校でましてや文化祭の真っ只中だということも忘れ夢中になって応じる。
横田から激しく求められ、一気に身体の熱があがってしまう。
当然の如く股間はもうビンビンだ。…ちなみに今俺は、セーラー服着用中である。
「んっ…っ、」
離れた互いの唇から、白い粘液が名残惜しそうに垂れていく。
伏せられた横田の睫毛は綺麗なカーブを描いていて、頬も紅潮している。
よく見れば横田の下半身も不自然に膨らんでいた。その光景に、余計に煽られる。
「……っ…」
熱のこもった双眸が絡まり合う。
横田の目はやけに色っぽくて、飢えた男のようで…普段こういうことをしてる時のとろんとした瞳もいいけど、これはやばい。すげぇ…クる。
そういえばいつだかに、こんな目をした横田を見たなぁと頭の端にチラついた。その時も色々あられもない行為に及んだっけ、と。
「…んっ」
横田の唇が首元に降りてきて、ちゅ、ちゅと音を立てながら吸い付いてくる。
積極的なよこたんにされるがまま、俺も腰に回した手をシャツの中に入れて素肌を堪能しつつ、どんどん激しさを増すお互いの行為に立っていられなくなって、ずるずると膝を折る。
「っ、よこた…」
覆いかぶさるようにその場に押し倒されて、セーラー服の横のチャックをおろされる。
滅多にないであろうこんな魅力的なお誘いを俺が断れるはずもなく(断る気もさらさらないけど)、すぐに薄っぺらい胸元が眼下に晒された。
「たかぎ……」
切羽詰まったように見つめられ、ゴキュリと喉が鳴る。
こんな男前な彼氏を前に、濡れない女はいないだろう。自分の格好のせいか余計なことまで考えてしまう。
「っ!!よこ」
「黙って」
余計なことを考えていたら、ふいに股間をするりと撫でられた。一瞬で硬度を増す俺の熱に気付いたのか、横田は嬉しそうに舌で唇の端を舐めてみせる。
いつもより数倍エロい横田の仕種全てに引き込まれてやまない。
今日の横田はやばい。興奮で茹だった頭で考えられるのはそれだけだ。
「…っあ、も」
ピッチリ襞のついたスカートをグッと押し上げている部分を、焦らすように手が往復する。
たまらず腰を浮かせて股間を押し付けるようにすれば、横田が満足気に笑う気配があった。
「高木……」
両胸を赤い舌がはい回る。微妙な力加減で先端をチロチロ舐められ、時にねっとりと刺激されて、俺の乳首はぷっくり膨れあがった。
それにしても今日のよこたんはどうしたんだろうか。
文化祭の熱にあてられたというには、午前中の彼はあまりに物憂げだったと思う。
かと思えば女の子にあんなきらびやかな笑顔振り撒いたり、今はこんなにも積極的に迫ってくれたり…俺は基本よこたんにならいくらでも振り回されてオッケーだけども、理由が気にならないといえるほど器はでかくない。
「っ、よこた…な、どしたの?今日は……」
「…やだ?」
嫌なわけないと即座に答えれば、無言のまま胸への愛撫が再開された。
片手がスカートの中に侵入してきて、下着の上からソコを握られてピクリと身体がしなる。
「すごい…たってる」
そんな言葉に更に硬くなる俺の性器を下着から取り出した横田は、ためらいなくソレを口に含んだ。
「っちょ!横田…んっ…は」
やんわり引き離そうとしてみるが、横田はものともせずに舌先を動かし始める。
「っは…っ、わ…ゃ」
眼下に広がる卑猥な光景に興奮度が最高潮に達する。
舐めてる。横田が、俺のを。
性欲なんてさらさら持ち合わせていないような面して、自分から、ねだるようにエロティックに、俺のちんこを舐めしゃぶっている。
「よこた……やば、きもち…」
「ふっ…んぅ」
口の端から漏れる吐息もたまらなく色っぽい。
横田の髪に指を絡めて優しく梳いてやると、上目にこちらを見上げられる。目だけで微笑んで、好きだよと告げれば、口淫が一層激しくなった。
「や…っ、ちょ、出そ…だから…っ、横田…離っ」
呆気なく精を吐き出してしまった。しかも横田の口に。
この前の失態を考えればよく持った方だけれど、それにしても早すぎる。
と、いうか。
「っわー!ごめん!ほら、ここに出して」
喉を潤すにはいささかキツすぎるであろう液体を口の中で持て余す横田に、両手を差し出す。
「ん"、ん"ん"」
が、横田は眉を寄せて首を振って、あろうことかゴクン、と喉を揺らした。
「ひぇ…ま、まさか…飲んだ?よこたん…」
ケホ、と噎せだした横田を抱きしめて、背中をさする。
落ち着くまでそうしていると、横田はようやくいつもの顔に戻ったように見えた。
「な、そろそろ教えてくれる?今日、よこたんが何を思ってたか…」
横田が俺の精液を飲んだという揺るぎない事実の破壊力に股間を再び膨らませていることは秘密だが、このまま流れてなんとなくうやむやになってしまうのだけは避けたかったので、理性を総動員させてめいっぱい深呼吸をした。
「……っ……く…」
「ん?」
「せっかく…さっき、……たのに…また…女の子達に…たか…ぎ……も…おれ…なんか…カッ…となっ」
泣きそうになりながら、たどたどしく単語を並べていく横田があんまりに可愛くて、愛おしくて…みなまで言う前にぎゅっと抱きしめるしかなかった。
だってこれ、要はよこたん、嫉妬しすぎておかしくなってくれたってことだろ…?
「どこも行かねぇよ。安心してだいじょぶだから」
細い肢体を力いっぱい引き寄せて耳元で告げる。
あぁもう、こんなん反則だろ…!
「っも…ばか。本当ばか。俺、まじで横田のことしか見てないから…お前しか目に入んないし、他のやつなんてどーだっていいよ」
「たかぎ……」
潤んだ目元にチュ、とキスをした。ちょっとしょっぱい気がしたけれど、横田のことを思ったらそれすら甘く感じる。
「ね、俺がよこたん大好きなの伝わんない?こんなに好きで好きでたまんないのに…ほら、ここもまたこんなんなってる」
「〜…ッ」
「よこたんもさっきから辛いだろ?続き、したい…」
向かい合った状態で互いの反り返った分身を擦り付けながらねだる。
「ん…」
横田もおずおずソコに手をかけて、先走りを滲ませた肉棒を両手で扱く。
横田のちんこはいつもながら綺麗な色してるけど、今日はいつもより先走りの量が凄くて艶めかしさ5割増し。非常にエロい。
濡れた水音がぬちゃ…と聴こえる度に、俺の先端からもプクプク白い液体が浮かび上がってしまう。
はぁ…とどちらからともなく熱い息を漏らして、引き寄せ合うように唇を合わせビチャビチャ音が立つのも構わず舌も絡ませて、腰を揺すりながら扱き合った。
「んっ……ふ」
「横田…好きだよ…すげぇ…好き……っ」
ぶるると身体を震わせる。
ぐしょぐしょになった下半身を見て、二人してふにゃりと破顔した。
***
「それにしてもあの時のよこたんあまりにも王子様すぎて俺ビックリしすぎたんだけど!ね!あの笑顔もっかい見たい!お願い!」
文化祭も無事に終了して、後片付けの最中山下に押し付けられたゴミ捨てを遂行するため、横田と仲良く焼却炉まで赴いたその帰り。
かなり衝撃的だったあの横田の王子様スキルが忘れられなかった俺は、両手を合わせて興奮気味に横田に詰め寄った。
「お、…覚えてない」
横田は目を泳がせながら俯く。
「うっそだぁ〜。もー…そんなうそつく子にはキスすんぞ!」
「嘘じゃない…あの時はその…あの子達から高木を離れさせることしか考えてなくて…だから…」
茶化していたはずの顔がピタリと停止した。そしてじわじわ熱くなっていく。
「うほぉ…も、よこた…」
心がほかほかとあたたかい。
想われるってこんなに幸せなんだと心底思う。
「あ…それから…その…」
隣を見遣れば、横田は何か伝えたそうにしていた。
少しばかり顔を赤らめながらなにやらモゴモゴ言う恋人を、急かすわけでもなくただ笑顔で待っていると、
「……キスは、して…も、いい」
とんだ爆弾が落ちてきた。
「!!よこたんっ!!」
思わず彼の腕を引っ掴んできょろきょろ周りを見回しながら人通りのない場所を探す俺を、はたして咎められる者がいるだろうか。
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