矛盾する想い

貴方は私じゃない誰かを想い続けている


一方通行な私の想い


それでも


貴方の隣にいて


一番近くにいるのは


私でありたい


そう思うのはいけないことですか─…?





++++++





桜も満開になり花見の季節となった


綺麗に咲く桜が風に吹かれ舞う中私は服部家へと向かった


毎回のことながら勝手にお邪魔させてもらい、二階にある平次に向かう





「平次いてる?」


「うわっ!!」





そんなに勢い良く入ったわけでもないのに大袈裟なほどに驚く平次に目を丸めるしかなかった


情けない声と共に平次が落としたのは小さな水晶玉


それは私の足元まで転がってきた





「アカンよ。大事なもんなんやろ?ちゃんとしまっとき」


「あ、ああ。そやな」





異常なまでに慌てて水晶玉を受け取る平次


渡しながらすごい複雑な気持ちになった


京都に行くたびに大事そうに持っていく平次の宝物


初恋相手の唯一の手掛かりだから仕方ないが、大事そうにしている平次が憎たらしく思えることも少なくはなかった





「初恋の子か・・・」


「はあ!?」


「今更やん。知ってるで?アンタが血眼になって探しとるってこと」


「そ、そんなんやないわ!」





そう言いながら水晶玉をポケットに入れる





───また、探すつもりやないか





出かける準備をする平次を見ながら心の中で呟いた


素直に言えばいいのに、変に誤魔化したり隠したりするから余計にムカつく





「どっか出掛けるん?」


「まあ、ちょっと調べたいことがあんのや」


「そっか・・・・」


「何か用でもあったんか?」


「桜でも見に行かへんかと思ったんやけど、やっぱええわ」





"そうか"と言ってジャケットを羽織る平次に笑顔で"いってらっしゃい"と手を振る





「あれ平次、どっか行くん?」


「おお、和葉。丁度いい、二人で花見でもしてきたらええやないか?」


「え、ちょっ・・平次!!」





いきなりのことに戸惑う和葉とは対照的に私は笑顔だった


バタンとドアがしまったところで振っていた手を下げ笑顔を消す


そして、不機嫌そうに顔を歪める私を和葉が心配そうに見ていた





「何であたしが笑顔で見送らなアカンの!」


「ホンマや・・無神経すぎるやろ平次のやつ」


「ん?」


「いや、なんでもあらへん!」





小さくて聞こえなかったが、笑って誤魔化す和葉に私はそれ以上追求しないことにした


いや、追求する気も起きなかったの間違いか


イラついているのか、悲しんでいるのか良く分からない自分に肩から力が抜ける


もしかしたら、どちらでもないのかもしれないがいい気はしないという事だけは確かだった





「それよりどないする。ホンマに花見でも行こうか?」


「ごめん、私もちょっと出てくるわ」


「ちょっと!蘭ちゃんとのこと忘れてへんやろな!!」





そういえばと思い出す


毛利さんが依頼で京都に来るらしく、蘭も一緒にくるのなら案内してあげると約束したのだ





「今思い出したから大丈夫や」


「しっかりてや!!」





呆れたよう言う和葉に私は苦笑いしてさっさとその部屋から出た


蘭かー・・・


大阪と東京だから頻繁に会えるわけではない


だから蘭とは久しぶりに会う


きっと、コナン君・・というか新一も来るんだろうけど平次は忙しくて来ないはず


事件の調査と初恋相手を探すため





「・・・アホらし」





ホンマに何考えてんやろ


私がこんなに悩む意味がわからんわ





そういって大きく息を吐きながら駆け足で歩いた


早く初恋の相手が見つかってしまえばいい


そうすればこんなに悩む必要はなくなるのがから


でも・・本音は見つかってほしくない


どんなに辛くても


いつまでも隣にいたいと思ってしまうから





2011.01.30

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