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玉垣千奈の調査2

皆さん、こんにちは!
自他ともに認めるナマエさん大好きっ子、玉垣千奈です! 生まれは千葉の田舎です! 空気が美味しくて、野菜も美味しくて、お気に入りの実家なのです!

さてさて、今日は私の大好きなナマエさんの件なんですが……。最近、何やら元気がないようなのです。

「ナマエさんっ、今日一緒に帰りませんか?」
「遅くなりそうだから、また今度ね」
「また企画の件ですか? でしたら私もお手伝いしますよ!」
「ありがとう。でも別件で残るの。私の仕事だから、大丈夫よ」
「……はい」

ナマエさんは日頃の業績が評価されてか、お仕事が急に増えたんです。それも、一般職じゃない総合職としての仕事まで任されて……。大好きな先輩が輝くのは嬉しいですけど、なんだか苛めみたい。もっと暇そうな人にでも頼めばいいのに!

「あの、私にできることあったら何でも言ってくださいね! そりゃ、知識ないし奇抜なアイディアも出せませんけど……。でも、ナマエさんの力になりたいって気持ちは本物ですから!!」

ナマエさんのためなら二日くらい徹夜できる!!
その後、三日休ませてもらえればできる!!!

「ありがとう、千奈ちゃん。落ち着いたらご飯行きましょうね」
「っはい! 是非!」

ああ、ナマエさんが呼ばれちゃった……。
救いは本店から異動してきてくれた高砂子先輩の存在です。出来る温厚な人なので、きっとナマエさんを私よりも支えてくれるはず……! 
私よりもってところが凄く嫌ですけど!!!

結局、私だけお先に失礼しちゃいました。なんだか、ナマエさん大丈夫かなぁ。私に何か出来ることがあればいいのに。もっと勉強しておくべきだったのかなぁ。

「あれ? 千奈さん?」
「はっ! 安室さん!!!」

ナマエさんの(未来の)彼氏さんだ!
そうだよ、安室さんなら力になれるかも。最近ポアロにも行けていないから、何か差し入れとか!

「丁度良い所におられました、安室さん!!」
「は、はぁ……?」

安室さんの手にしている箒ごと引っ張って、ポアロのお邪魔するのです。ナマエさんの大好きな女性店員さんはいませんね。マスターと、お客さんが二人。どちらもおじいちゃんおばあちゃんだから、まあ話してもいいでしょう。

「実は、最近ナマエさんがお疲れモードでして」
「ナマエさんが? 近頃はいらしてないから、仕事が混みあっていると想像してましたけど」
「混みあってるどころじゃないんですよ! 管轄外の仕事を急に振られるし、お客様が急に倍増して日常業務も終わらないですし……!」

正直、今の支店長は嫌です。怒りっぽいし、仕事丸投げだし、確認しに来ないし、報告しても聞いてるのか聞いてないのか分からないし。前の支店長なら笑いながらバカ出来たのに。

「そうなんですか……。はい、まずはこちらをどうぞ」
「わっ、ありがとうございます!」

あったかな珈琲! 私は苦いのが嫌いなのでミルクとシロップを足してくるくる混ぜます。良い香り。前にナマエさんとここに来た時のことを思い出します。

「ナマエさん、辛いときこそポアロに行ってたのに。気分転換だって」
「僕も、梓さんも暫く見ていないので心配していた所なんですよ」
「安室さぁん、ナマエさん倒れちゃいますよ〜〜!!」

そりゃあ、安室さんに言ったって変わらないのは知ってるけど? 
けどけど、ナマエさんやっぱり辛そうなんです!! 

「企画のことがなくても、溜め息の数が前より多いし、目にクマ出来てるし、昼食だって食べなかったり量減っていたり。朝からげっそり青い顔している時だってあるんですよ!?」

仕事に影響出てないからいいってものじゃない! 私の大好きな凛々しいナマエさんが、あんなげっそりするなんて可笑しい!

「それは……上司は、何も言わないんですか?」
「全ッ然!!」

本当に嫌だ! 係長だっていっつも上のご機嫌取ってばっかりで。もう!!

「今日も残ってて……」
「何時ごろ帰られているんですか?」
「私も、分からなくて。一緒に残っているときは遅くても21時までですし。……でも」
「でも?」

いつもナマエさん、何かしら理由付けて家に帰らないんだよなぁ。ナマエさんの家よりも奥に私の家があるから、よくナマエさんの家の前まで一緒に帰ってるのに。

「もしかしたら、戻って仕事しているのかもしれませんね」
「ナマエさんならあり得る……。安室さぁん!!」
「そうですねぇ」

ナマエさんがもし倒れちゃったらどうしよう。前の時はすぐに安室さん来てくれて、ナマエさんだって すぐ調子戻りましたけど。入院とか、病気になっちゃったらどうしよう……!

「泣かないでください、千奈さん」
「うっうぅ……ナマエさぁん、無理しないで〜〜!」
「ああ、目を擦ったらメイクも落ちてしまいますよ」

優しい、安室さん。

「ナマエさんの辛辣さだってキレがなくって、千奈調子出ません〜〜!!」
「ああ、それは問題ですね」

ですよね!!

「千奈さんさえ良ければ、今日差し入れしてあげませんか? 僕はどうしても抜けられないので、お願いする形になってしまうのが心苦しいのですが」
「……いいんですか?」
「はい! 今用意しますね。ブレンドとサンドイッチでいいかな」
「良いと思います!」
「少々お待ちくださいね」

安室さん、神さまか!!
自分だって忙しいだろうに、愛するナマエさんのために……くぅ! 素晴らしい愛! やっぱりお二人、付き合っているんじゃ……!

「……はぁ。ナマエさんの鋭い一言がないと、調子出ません……」
「……そうですね」

企画さえ終わればいつも通りになるかな。どうしたら早く終えられるかな。私に、何が出来るのかな。

「透クン! 仕事終わったよ〜!」
「いらっしゃいませ」

だ・れ・!?

「今日もね、顧客ゲットしちゃった! お祝いにパンケーキ頼んじゃおっかなぁ〜?」
「どれにしますか?」
「んっとね〜、コレ! チョコバナナのパンケーキ!」
「かしこまりました。お待ちくださいね」

何この美人! 紺碧のスーツがめちゃくちゃ似合っているんですけど――!? 
安室さんのこと名前で呼んじゃって、一体どういうご関係なんですか!?

「ねーぇ、先週オープンしたレストランなんだけど、一緒に行こうよ!」
「残念ながら仕事が入っていまして。すみません」
「えぇ? じゃあ、いつなら良い? 私が時間空けてあげる!」
「えぇっと、まだシフトが出てなくて」
「んもぉ! 店長ー! 早くシフト出してよね!」

堂々と安室さんをお誘いしている……だと!?
千奈なんて霞みそうなくらいの美人さんが、安室さんを魅了しようとしている! 
ま、まさか安室さん浮気しているんじゃ……!!!!

「に、睨まないでくださいよ。はい、こちらです」
「浮気、ダメ、絶対」
「浮気じゃないですって」

安室さんからバスケットを受け取った。まさかのプラスチック容器じゃないことに千奈は驚いているんですけど、あれですね。ポアロに返してくださいって言う流れですね、千奈理解しましたよ!

「……だぁれ、その子。なにそのバスケット」

怖い!! 
美人は、怖い!!!

「お使いをお願いしただけですよ」
「ふぅん? 客にぃ?」
「まあ、いろいろとありまして。はい、パンケーキです」
「きゃっ、ありがとう!」

語尾にハート付いてる! 何、この対応の温度差!?

「じゃあ、千奈さん。お願いしますね」
「お会計……!」
「今日は僕の奢りですよ。代わりに、ナマエさんをよろしくお願いします」
「はいっ!」

こっそりと耳打ちしてきて、美人さんからの睨みが一層恐ろしかったけど、多分内容聞かれた方が不味いんだろうなというのは、私でも分かる。大きくお辞儀をしてポアロを出ようとして、ちらっと中の様子を見てみたら

「ねーえ、いい加減名前呼んでよ」
「アハハ。お客様に無礼は働けませんよ」
「あの人のことは名前で呼んでいたくせに!」
「ほら、せっかく作ったんですから食べてくれると嬉しいです」
「ふふっ、焦らすところも好きよ。透クン」

なんですかあの女!!!!!
もうぷんぷんですよ! 安室さんにはナマエさんっていう超絶お似合いな人がいるんですから、近づかないでいただきたい! 安室さんだって、どうしてあんなの相手にしているんでしょう!

「……これで、元気になってくれるかな」

とにかく、今はナマエさんの所に行こう。
私の大好きなナマエさん。早くいつもみたいにやりたいなぁ。



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