頂き・捧げもの | ナノ

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 sweet prison



カタンっとテーブルにカップが置かれる。

中にはコーヒー。

キリマンジャロかブルーマウンテンだか知らないが彼女がいれたならドリップなのだろう。



「飲まないの、シュラ?」

「あ…いや、戴こう。」

「はい、ハニーポット。」

「ありがとう。
ナマエは…」

「いいわ。
私はブラックで。」



そう言ってメープルのたっぷりかかったパンケーキをテーブルに置く。

その隣にジャムの瓶を置いて俺の隣に座った。



「……食べないのか?」

「ん?ああ。
私はいいの。
シュラが美味しく食べてくれればそれで充分。」



幸せそうに微笑むナマエに引っ掛かりを感じる。

彼女を気にしながらコーヒーにハチミツを入れ、パンケーキにジャムを塗る。


開けっ放しの窓から風が入り込む。

ナマエの豊かな黒髪を揺らし俺の髪も揺らす。

愁いを帯びたような、切ない色気を一瞬だけ見せる。

ナマエはいつからこんな表情を見せるようになった?

胸が苦しくなるような、こちらの意識を搦め捕るような視線。



「……その、ナマエ。」

「どうかした?」

「あ、の……


他に好きな奴が…出来たのか?」

「どうして?」



不可解だと眉根を寄せる。

飲んでいたコーヒーのカップを置いて俺をじっと見た。

意思の強さを思わせる黒い瞳が俺を射抜く。





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