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 骨の髄まで



「ただいま…」

「おや、お帰り、スコーピオン。
今日はやけに疲れているじゃないか。」

「あー……まあな。」



さあ飲めと彼女が茶を差し出す。

熱すぎず、かと言って温い訳でもない茶。

ちなみに彼女と言っても俺の彼女ではない。

名前はナマエ。

アテナの会社の研究員らしい。

らしい、と言うのは彼女が働いているところを俺が見たことがないからだ。

俺がいつも見るナマエは天蠍宮でこうして笑っている。



「疲れているなら私はもう帰ろう。
しっかり休みたまえ。」

「いや、気にするな。
用があるから待っていたのだろう?」

「ああ。
しかしいつものやつだ。
だからまた改めて伺おう。」



いつもの。

とはまあ日常になってしまったアレだろう。



「良いから。
誰かいた方が気晴らしにもなる。」

「そうか?
ならばお言葉に甘えて。」



椅子に座った俺にダイブしてくる。

カチャリとナマエのネックレスが聖衣に当たる。

うっとりとした顔でナマエは俺に馬乗りになった。

そのままなだれ込むように体をぴったりと俺に引っ付ける。


正解には俺の着ている蠍座の聖衣に、だ。



「はぁー……落ち着く。
やはり好きだ。」

「ナマエもよく飽きないな。
暇さえあれば聖衣にべったり。
面白いか?」

「楽しいからこうして日参しているのではないか!
この機械工学に基づいているのに、さらに生物学の生体構造を」
「分かった。
分かったから。」



このテのナマエの話は長くなる事が多い。

経験上早く切るに限る。

さほど気にしてないのだろう、ナマエも続きを話すでもなく聖衣を突いたり撫でたり。

最終的にはキスをする。





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