サディスティックパラダイス



「ねえ由凪」

「は、はいなんでございましょうか」

「俺イチゴオレ買ってきてなんて言ってないんだけど」

「いや、あの、これにはふかーいふかーーいわけがありましてね…」


にっこり、笑ってない笑顔で私を上から威圧する、上からっていうのは目の前で仁王立ちの小湊の方が身長が高く見下ろされるからなのです。なぜこんなことになったか、それはこの小湊野郎に飲み物買ってこいとパシられその飲み物が売り切れで仕方なく代わりにイチゴオレを買って帰ったところお気に召さなかったらしく説教されている、というわけだ、はっはっは辛い、というか怖い笑ってないよこいつなんだこのブラックオーラこええ…!


「ほ、ほら!イチゴオレもヨーグルトも乳製品じゃん?ね?」

「馬鹿なの?いや馬鹿だったね」

「喧嘩売ってんだな?売ってんだな?よーしわかったならば戦争だ」

「ふーん由凪俺に勝てるつもりなんだーへー」

「調子に乗って申し訳ございません」


魔王降臨って言葉がよーくお似合いですわね小湊様村人Aには勝てやしませぬわおほほほほだから許して!一向にブラックオーラが収まらない、これはもう詰んだ、ああさようなら輝かしかったはずの未来…。だがしかし天は我を見捨てなかったようだ、悟りを開き始めた私の前に現れたは勇者…


「いさしーきッ!さあ勇者の剣で魔王に打ち勝ち平和を手にするのよ!」


は?っと状況のわかっていない伊佐敷の背中にささっと隠れ鼓舞する。君なら勝てる!強いよ伊佐敷!頑張れ伊佐敷!よっ青道のスピッツ!ってこれ言うと怒られるからだめなんだけどね、うん。目の前の小湊を見た伊佐敷はげっと一言言い私を突き出した、まさかの裏切り、だと…?伊佐敷てめえ覚えてろ今からてめえはブルータスと呼ぶ!こんの馬鹿野郎ぉぉぉ!
俺を巻き込むなと一言残してさっさと退散してしまった伊佐敷、さて目の前の魔王に村人Aはどう立ち向かえばいいのか…あれ、さっきよりブラックオーラ増してね…?


「…由凪」

「はははははいなんでご、ございますか」

「馬鹿には躾が必要だよね?」

「あ、あははーやだなー小湊さんったらー犬猫じゃあるまいし、ね?」


がっしりと掴まれた頭、ああ終わったな私、お母様先立つ不幸をお許しください…。にっこりと笑う小湊に引きつった笑みを返し地獄へのスタートラインへ立たされたことをよーく実感したのであった。




誰かこのドS野郎どうにかしてくれ

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