まどろみのそば





あんな賑やかなお見舞いは初めてだ。だから、みんなが帰った後の静まり返った部屋は少し、さみしい。

この世界に来たのは最近の筈なのに、もう一人でいることにさみしさを覚えてしまっている。苦笑してベッドに背中を預ける。
談笑は楽しかったけれどそのぶん体力は消耗していたらしい。天井を眺めてしばらくすると、瞼が重たくなってきた。
泥に沈み、途切れ途切れになる意識。瞼が落ちきるその瞬間。
「……なあ、」誰かに呼ばれた気がした。「李依」最近よく聞く、知っているこえだった。






……




病み上がりはなぜか体がふわふわとしている。
起き上がると額から何かずり落ちた。濡れタオル。
寝る前にはこんなもの、誰も用意してなかった筈だ。

「誰が置いてくれんだろう……」

早く良くなりなよ、と。いつか言われた記憶かはたまた病み上がりの幻聴か。意識が落ちる寸前にそんな台詞を聞いたような気がした。