初めての恋(喜多一番)




生徒会副会長をやっている俺はいつも仕事に追われていた


会長の補佐、会計の暴走........それでも俺はやりがいを感じていた。何より君がいるからだ

「喜多君、ちょっといいかな?」
「ん?なんだ」
「ここなんだけど........」
「サインか」
「うん。お願いしてもいいかな?」
「もちろん。ちょっと待ってて」

俺は君に出会えて初めて恋をしたんだ。俺はポケットから判子を取り出して彼女が持つプリントに半を押した

「ありがと、喜多君」
「礼には及ばないさ。それより祐奈はよく頑張るよな」
「そ、そうかな?」
「だって生徒会に弓道部、保険委員だろ」
「う、うん.......」
「あまり無理するなよ」

ぽん

「あ.........」
「なっ」
「うん!!」
「あー喜多君が風見さんの頭なでなでしてる〜」
「「!!」」

後ろを振り返ると頬をぷくーと膨らませる雛乃がいた

「ずるいですよ!僕も風見さんの頭なでなでしたいです!!」
「雛乃、お前はまず仕事をしろ!」
「僕はちゃんと仕事をしているじゃないですか〜」
「何処がだ!!」
「まぁまぁ、少しは落ち着いたらどうだい」
「あ、会長」
「会長もなんですけど.......」

会長である黒裂は椅子に座りニコニコしながら俺たちを見ていた

「やだな。俺はちゃんと仕事をしているじゃないか」
「その机の上にあるプリントの山を見て『仕事をしているじゃないか』って言える立場ですか?」
「あはは。ごめんごめん。別に喜多を困らせてる訳じゃないんだよ」
「なら、そのプリントの山をどうにかして下さい!!」
「今日の喜多は怖いな。何かあったのかい?」
「別になにもないですよ。てか、怖いってなんですか?」
「あ、祐奈さん。俺、なんか言ったかな?」
「えっ?」

逃げた。全く、黒裂はいつもこうだ。でも、俺はそんな生徒会が好きなんだよな

この生徒会は黒裂会長が筆頭に集まった最高のメンバーだ。会計の雛乃に書記の祐奈。そして俺は副会長........。

「会長」
「ん?なんだい、喜多」
「俺、この生徒会に入れてすっごくよかったなって思います」
「!」
「喜多君?」
「..........え?どうしたの、喜多」
「..........深い意味はないです////」

雛乃や祐奈に黒裂は未だに驚いていた。でも、それはほんのいっときで雛乃はすぐに俺の頬をつついてきた

「喜多君がお礼を言うなんて何かありましたね。白咲さんがいたらもう涙もんですよ!!なんですか?教えて下さいよ」
「理由は特にないぞ!////」
「怪しいです」
「怪しくない!!」

俺は雛乃から逃げるように仕事を始めるが雛乃は俺の肩に抱きつきながら俺の邪魔をする

「喜多君の言う通りですね」
「祐奈?」
「私も白咲先輩には感謝してます」
「俺もだよ。こんな楽しい生徒会が出来て」
「はい!」
「さて。雛乃、喜多、祐奈仕事を始めようか」
「「「はい!!」」」

_________

かつかつ........

「おはよ〜喜多」
「西野空。おはよう」
「今日も生徒会なの?」
「今日は活動日じゃないから」
「じゃ、遊びに行かない?もちろん、祐奈や隼総、星降に神童君も誘ってさ」
「いいな、それ!で、何処に行くんだ?」
「僕たち『天文科』の場所さ」
「もしかしてあそこか!」
「うん。授業が終わったら行こうよ、喜多」
「あぁ。って、あそこって『天文科』だけじゃないだろ」
「まぁ、実際には僕たちの学校に関係する場所だからね」
「だよな。全く、西野空は」
「あはは。あ、星降と神童君だ!」
「ほんとだ」
「おーい、2人とも〜」
「ん?」
「喜多、西野空。おはよう」
「おはよう〜2人とも」

ぎゅ

「抱きつくな西野空!」
「いいじゃない。ねっ、神童君」
「あぁ」
「暑苦しい!!」
「ははっ。ほら、早くいくぞ」
「おーう!」
「そうだな」
「西野空、離れろ!!」
「いやだ〜」





ガラガラ


「おはよ〜」
「おはよう、4人とも」
「はよ〜」

西野空は真っ先に隼総の隣の席に座ると隼総となにやら話をしていた

「喜多君、おはよ」
「おはよう、祐奈」

俺の席は祐奈の隣。祐奈の前の席に星降がその斜め前に神童君の席がある。俺たちは以外にも近い席にいるわけだ

「今日の宿題やってきた?」
「もちろん。ただ、一箇所だけわからない場所があったんだよ」
「それって何処?良かったら教えるよ」
「ほんとか!ありがとう、実はここなんだけど........」
「あ、それはね.............」
「なるほど、そういうことだったのか」
「ねっ。以外にも簡単でしょ」
「あぁ。祐奈のお陰だな。ありがと」
「////そ、そんな。礼には及ばないよ」

照れながら首を振る祐奈に俺は可愛いっと思ってしまった

「(やばい///祐奈が可愛くてやばい////)」
「(喜多の奴、なに赤くなってるんだろうな)」
「(仕方ないよ。喜多は祐奈のこと好きだからね)」

俺の後ろの席からごにょごにょ聞こえるが気にならなかった

そして少ししてから先生が現れホームルームが始まり星月学園の1日が始まる

__________

キーンコーンカーンコーン

「終わったぁぁぁ!!」
「西野空、うるさい」
「あはは。西野空君、ずっと楽しみにしてたものね」
「当たり前だよ。さぁ、みんなで天文台にいこう!!」

西野空は鞄を持って教室を飛び出して行った

「ったく、少しは落ち着いたらどうだ」
「まぁ、西野空だから仕方ないだろ」
「俺たちも行くか、喜多」
「そうだな、神童君」

西野空の後に俺たちも教室を出て校門に向かった

「それにしてもこのメンバーで行くのは初めてだよね」
「まぁ、言われてみればそうだよな」
「西野空はよくこんな企画めいたことを考えたな」
「西野空君はこういうの好きそうだよね」
「流石は風見だな。まさにそうだよ」
「え、そうなの?星降君」
「あぁ。中学も同じように西野空が企画考えて星を見に行ったことがある」
「そうだったんだ。いいな、そういうの」
「...........」

それからバスと徒歩を使ってやっと天文台に到着した

「まだ、星はでないからさなんか見て回ろうか」
「賛成ー」
「あ!あまり遠くに行くんじゃない」
「大丈夫だよ、喜多ぁ〜」
「喜多は風見と一緒にいろよ」
「そうだな。西野空は俺たちが見てるから」
「すまない。助かるよ神童君、星降」
「喜多、俺もいるんだけどぉ」
「ははっ。隼総も頼りにしてるぞ」
「ったく.......」
「よし、西野空を追いかけるか」

神童君と星降、隼総は西野空を追いかける

「足、早いね........」
「まぁ、中学時代はサッカー部だったからな。ここにいるのもあれだから喫茶店に入るか」
「そうだね」

俺と祐奈は西野空達が戻るまで喫茶店のなかで待つことにした

「.............」
「.............」

し、しまった!二人っきりじゃないか!!な、何を話せばいいんだ

ま、まさか片思いしている相手と2人にするのはどうかと思うぞ

「あ、あのさ喜多君........」
「え、な、なんだ!」
「ぷっ........あはは//」
「え........」
「そんなに声あげなくても......あはは//」
「........祐奈」
「ん?なぁに.......いったぁ」

ぽかっ

「笑うな」
「ご、ごめんなさい.......でも、いつもの喜多君に戻ったね」
「えっ...........」
「喜多君、さっきから浮かない顔してたから」
「........俺、そんな顔してたか?」
「うん。私と星降君と神童君が話してた時あまり話に加わってなかったから」
「だがそれを言うなら隼総だってそうだろ」
「まぁ、そうなんだけど。私からみたらってことなんだけどね」
「そっか.........祐奈からみて俺は浮かない顔していたのか」
「うん。だから何かあったのかなって」

俺のことを気にかけていてくれていたなんて

だが、まだ言えるわけない。祐奈のことが好きだなんて

「俺に言える勇気があれば.......」
「ん?なんか言った、喜多君」
「!あ、いやなんでもない。さてそろそろ西野空達のところに行こう」

俺は勢いよく立ち上がり祐奈に背を向けて会計をすませる

「喜多君の.......ばかぁ」
「?なんか言ったか、祐奈」
「なんでもないよ。それより早く行こう」
「あぁ」

__________

俺が祐奈に一目惚れをしたのは入学式

この学校は男子学校だったのだが今年から共学となった。でも、こんな山奥にある学校を受ける女子はいなかった。でも、1人だけ受けて合格した女子がいた。それが風見祐奈だった

入学式で俺の隣に座っていたのが祐奈でその時から好きになった。校長の話や生徒会長の話すら頭に入ってなかった

(やばいな。完全に一目惚れしてしまった。あぁぁ、どうしたらいいんだ)

俺は頭がパンクしそうになっていた。そんな時だった生徒会長である白咲さんに呼ばれたのは

「これから呼ぶ者はその場に起立。黒裂真命、雛乃金輔、喜多一番、風見祐奈......以上だ」

な、なんなんだ?なぜ生徒会長直々に呼ばれた。俺は仕方なく立ち上がると隣にいた祐奈も立ち上がり違うクラスの雛乃や黒裂も立ち上がる

「君たちを起立させたのは来年の生徒会のメンバーだ」
「えっ!」
「生徒会?」
「俺たちが?」
「ふぇ??」

誰もが驚くはずだ。来年からの生徒会?最初は驚いたがあとからそんなのは関係なかった

今では楽しく生徒会をやっている。しかも俺が一目惚れした祐奈がいるとなったらなおさらだった

そして今、天文科メンバーと星を見ています




(もし流れ星が流れたとしたら願い事は決まってる)
(祐奈に告白する勇気を下さい)

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