私がカゼマル君と出会って(正確には初めてカゼマル君を目にして)数日後、豊村梨花14歳、電柱の影なう!
前方にはカゼマル君…とミヤサカ君。いや別にストーカーとかじゃ無いです。たまたま登校の時間が重なったから影から眺めようと思っただけです。

「風丸さん!」
「どうした宮坂」

あ、この間と同じフレーズですよ!この間は続きは「一緒に走って欲しいです!」「ああ、いいぞ」だったよね!ね、カゼマル君!!

「今日の部活、俺の走り見て欲しいです!最近部活無かったけど、俺結構頑張ったんですよ!」
「そうか…わかった。楽しみにしておく」

聞いたよ今の!そうだよ私最近陸上部の練習無くて寂しかったんだからね!!だからカゼマル君!!今日こそ私とランデヴーしましょう!
場所は部室棟の南から三本目に生えてる木の下から五本目の枝に付いてる一番青々強い葉っぱの上で良いですか!?葉っぱに乗ったまま水に流れて駆け落ちしちゃいましょう!

電柱やらをこそこそ渡りながらそのまま学校に着いて、自分の席へ向かう。
なんと私の席は窓際の一番後ろ!ええ、そうです。間にグラウンドとか挟みながらもあっちの校舎が見えちゃうんです!しかもカゼマル君のクラスはあっちの校舎の、私のクラスと対になる位置に教室がありまして…そうです!そうなのです!なんと、授業中にカゼマル君の様子を眺められちゃう訳です。きゃっ!
その上カゼマル君の席は、私と同じ窓際の一番後ろ!!ちょっと窓の外に目をやればカゼマル君が…!!
イエーイ!!恋ってこんなにも、感激感動ワンダホーウ!

ええ、お待ちかねの授業時間ですよ!先生が何かよく分からない呪文を唱えている中、私の視線はカゼマル君に釘付け。カゼマル君が、フッとこっちを見た!きゃーカゼマルくーん!!私です!豊村梨花です!覚えてますか!?この間の部活で貴方に不思議そうな目で見られちゃった可哀想な女の子です!
あ、聞こえてない上に私の顔見えてないや。まあしょうがないか、間にグラウンドとか挟んじゃってるもんね。他の人だったらムカつくところだけどカゼマル君なので許します!これからも貴方を見つめていますよカゼマル君!!

「おい、豊村!!」

あっ、今カゼマル君すっごい必死な顔で問題解いてる!やだ、ちょ、何あの超必死な表情!!やばい、カゼマル君こっち向いて!今梨花は貴方の顔が正面から見たいです!
あああ、カゼマル君当てられた!誰だカゼマル君を当てた不届き者は!ハゲか、ハゲ様かよ。サ○エさんのお父さんもビックリなこのハゲめ!!その最後の一本抜いてやろうかテメェこのハゲ!!

「豊村!!!」
「はっはいいいっ!!」

誰だ今私のこと大声で呼んだ奴!!出てこいやオルァ!!私の恋路邪魔しやがってただで済まされると思うなよ!?

「豊村、授業中にボーッとするのは構わないが、授業を聞くときより真剣に外を眺めるのはどうかと思うぞ」

私を呼んだのはテメェかこの彼女いない歴=歳の数男め!!人の恋路を邪魔するから彼女出来ないんだよ!職員会議で「どうしたら彼女出来ますかね?」とか聞く前に何で彼女が出来ないのかちょっとは考えろバーカ!!

「や、やめろ…そんな殺気立った目で見ないでくれ…」
「じゃあもう授業中に話しかけないで下さい」
「はい!」

先生は良いお返事をした後、慌てて荷物をまとめて教室から出て行ってしまった。まだ授業時間終了まで三十分あるっつーの。
まあ良いけどね。これでカゼマル君を充分に見られるし。
とか思ったら、

「ねえねえ豊村さーん!さっきはありがとね!!おかげで授業無くなったしー」
「これでもうこの時間は自由だねー」
「豊村さんも、こっちで喋ろうよー」

うるさいったら。私はカゼマル君を眺める事で手一杯なんだから貴方たちと喋ってられないの!

「ごめんねー、私外見るのに集中しないといけないから」

そうとだけ言って、またカゼマル君を見つめる。カゼマル君!やだ、何その満足そうな表情!!私が彼女いない歴=歳の数男に邪魔されてた間に一体何が!!畜生あいつ後で締め上げてやる。
ってか、え!!な、カゼマル君何そのポーズ…!イケメンだよカゼマル君!!シャーペン口元に当てて考え込む仕草とか…!!や、やばい!!ツボ!!
豊村梨花14歳、更にカゼマル君の虜です!!私を虜にしたこの責任はちゃんと取って貰うからねカゼマル君!!



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