「か、風丸君!」


学校のグラウンドでストレッチをしている風丸君に走り寄る。


「お、豊村、来てくれたんだな」
「あ、う、うん…ま、また来たいって言ったの私だし…」


微笑みかけてくれた風丸君に顔が熱くなる。このまま汗で溶けてしまいそうだわ!



「豊村さん!」

「立向居君!」


風丸君と話していると立向居君が走って来た。昨日会ったばかりだけど、なんかこう…親しくしてくれるっていうか、なついてくれる?感じが嬉しい。


「今日もいらっしゃったんですね!」


なんとまあ素晴らしい尊敬語。私に尊敬するべきところなんて無いよ!むしろ私の方が君を尊敬したいくらいだよ!



「おーい!練習始めるぞー!」


円堂君のお声がかかる。それを聞いて風丸君も立向居君もみんなの方へ行こうとする。


「ええと…か、風丸君!がが、頑張ってね!立向居君も!」


立ち去る二人にそう声をかけると、二人とも私を見て微笑んでくれた。あ、嬉しい。




「か、風丸君、お疲れ様、です…」


汗だくの風丸君にタオルとドリンクを差し出す。
いやお疲れ様とか言ってみたりするけどぶっちゃけ私も疲れてるんだよね!
なにあの女の子たち!音無さんに木野さんに雷門さん!?風丸君とどういう関係なのとか風丸先輩って部活中以外どんな感じなんですかとかとか!
部活中以外どんな感じかなんて知らないよ!朝と授業中しか知らない!
とまあマネージャーの三人から質問攻めに合い(雷門さんは若干控えめだったけれど)、身も心もくたくたながら風丸君に声をかけた。

「さんきゅ」


うおおお、その笑顔で一気に疲れが吹き飛んだわ。
すごい勢いでドリンクを飲む風丸君に見惚れる。格好良いなあ、やっぱり。


「ん、どうした?」
「あぅあうあっ!いえ、なんでも!」

見詰め過ぎたのか、視線に気付いたらしい風丸君に不思議そうな顔をされる。畜生、豊村梨花、気付かれるなんて一生の不覚だわ!


「あの、風丸君、」
「なあ、」


今日一緒に帰りませんか、って聞こうとしたら、風丸君に遮られた。


「………」
「ええと…」


遮ったきり何も言わない風丸君に心配になる。何これ私どうすれば。


「…かぜま」
「もし豊村が良ければだけど、」


また遮られた!なに風丸君ってもしかして人の話遮るのが趣味だったりするのかな!?いやまあ風丸君だから別に構わないんだけどね!
というかご用件はなんですか!?

私の心の叫びが聞こえたのか(聞こえてたらやばいんだけど)、風丸君は話を続ける。



「サッカー部のマネージャー、やってくれないか?」


ん?サッカー部のマネージャーってことは、毎日部活で風丸君が見れるってことかな!?そういうことだよねそこの君!?
足元の小石に話しかけるも返事がなくてムカついたので蹴っておいた。あ、何か風丸君引いてる。


「あ、いや別に、そんなに嫌ならやらなくても…」


うええええ!なんか悲しい勘違いされてるショッキング!


「いいいい嫌とかじゃないです!是非やらせて下さい!」



思わず風丸君の両手を取っちゃって、引かれたかな、と思ったけど、風丸君は嬉しそうに優しく笑いかけてくれた。ハッピー!




(130518)
完結


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