ひひらぐ柊(1/4)

雪、かと思えば小さな花だった。
日毎冷え込んでいく夜にとうとう雪でも降ったのかと思ったが、深緑の美しい葉の脇にあったのは白い小さな花だった。
あんなにも香っていた金木犀が咲き終わり、その残り香につられて足を伸ばした先で見付けた花は、髭切もよく見知った樹木で、思わずその葉に手を伸ばす。
生い茂った艶々の葉は厚く、その縁には鋭く尖った棘がついている。甘やかな香りで誘い、白く愛らしい花の姿で引き寄せたと思えば、その葉には棘があり、気付いた頃には引っ掻かれていた……、なんて実に彼女と自分らしい。
髭切はその憎たらしいほど愛らしい棘に手を引っ掛けてしまわぬよう、深緑の葉を撫でるようにして、枝ごと花をむしった。

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