01



泣いてる子供がいた。

あれは、私…?

独り、なんだね。
あぁ、私はあの女の子がいなければ独りだったんだろう。
そしてあの女の子がいなければ家賊とは出会えなかっただろうな。



"守ることこそ"




時雨神社――結構有名な神社だ。
雨群雲神が舞い降りると言われる農民にとっては大切な神社だ。

私はそこの神主の娘、神子である。
神子ということからか、私と遊ぶ子供は少なかった。
穢れが神子に憑いてしまう、神子様も忙しいのだから、と子供の親は私から子供を遠ざけた。
私が嫌いな訳じゃない、ただ本当にそう思われている。
でも、私としてはやはり寂しいものだ。

いつだろう、ある女の子と友達になった。
名前を、祭奏椿姫と云うらしい。
それはそれは不思議な女の子だ。
私と女の子の関係は私が元服しても続いた。

元服してからは背中に鶴尊春雅(ツルノミコトハルマサ)という大太刀を背負っていて物騒だというのに、彼女は気にしなかった。
でも、当たり前だった。
彼女は私の元服に合わせ弓を始めた。
彼女の家柄も武器を使うらしい。
ある日、彼女と出かけたその帰り。
時雨神社に立ち寄った。

何年経っているのかわからない柱に手を置いた瞬間彼女の叫びが木霊した。


「椿姫っ!!」


間一髪で相手の攻撃を避けた彼女。
だが、頬に相手のナイフを掠め血が出ていた。

あぁ、このままじゃ、椿姫が危ない。

そう思い大太刀を抜いた。


「はぁ、はぁ…」
「れ、黎架ちゃん…」


私の大太刀は相手の首を独り残らず狩った。

なんで、だろう。

殺されると思ったら、武器をとってしまった。
その殺意に、私は大太刀を…取った。


「椿姫、行って。」
「え…?」
「私から離れて。もう一緒にはいられない。」


そう言いながら私の瞳に映っていたのは、メガネを掛けたスーツ姿の男の人だった。

彼女はそれを聞いて一歩二歩下がり、私に背中を向けて走り去っていった。


「太刀遣い、かぁ。珍しいタイプもあるものだね。…うん、狙い所も急所だ。まぁ、合格、かな。君が新たな妹になるなんてお兄ちゃんは感動、かな。名前を訊こうか。」
「時雨黎架。」
「うんうん。黎架ちゃんだね。お兄ちゃんから新しい名前をあげよう。そうだね…、黎織。それで行こう。これで君も、家賊の一員だ。」


だって君は

零崎に"成った"のだから

私は、この大太刀で彼女を守った。
殺す為じゃない、守るためにこの大太刀を振るう。
彼女を守る次は、家賊を守るために。



"その大太刀の意味"


それは守るための術。
私は差し出された双識の手を取った。











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