02
並盛中 一年教室
教室がざわつく。
転校生が来るだの、宿題見せてだの、煩い奴等だ。
どうせ殆どの話題が俺の話だろうけど。
そう思いながら教師の後ろについていく。
教室前に来ると、教師は「君は此処で待っていなさい。呼んだら入ってくるんだぞ。」って言う。
言われなくともわかってるっつーの。
教師「静かに。皆さん知っているとおり、転校生がいる。――入れ。」
ラウ『(命令口調かよ。)』
そう思いながらも、俺はそれに従い扉を開け教室に入った。
先生が入ってきて静かになったはずの教室が、俺が入った途端にまた騒がしくなった。
先生が俺の名前を黒板に書こうとしたが、俺は先生を止めて自分で書いた。
ラウ『黒雛ラウ。イタリアから日本に来て、並盛に住むことになった。よろしく…。』
簡単な自己紹介を済ませて席を教えて貰った。
隣は昨日会った山本武と気弱そうな少年――沢田綱吉だ。
こいつ等には興味ない。
今回俺の目的は2つ。
まず一つが、俺の後ろの席のコイツ――
暁「ラウ君。あたしぃ、風渓暁。暁って呼んでね♪」
ラウ『……よろしく。(うぜぇ…)』
この風渓暁って奴は、完全な猫被り野郎ってことがわかった。
それともう一つの俺の本来の目的は、笹川京子だ。
唯一、姉と兄を庇っていてくれた人達の中の一人だから、今回その風渓暁の一味にいじめられていないか心配だったんだが、案の定だった。
彼女は今にも泣き出しそうな顔をして俯いていた。
ラウ『(ほっとくなんて出来ねぇよな…)』
休み時間が始まってすぐ、質問攻めに遭う前に席を立ち、京子を無理矢理引っ張って教室から連れ出した。
京子「ラウ君っ!!待っ…!!」
ラウ『待てっかよ。応接室に向かうぞ。』
口も足も全て、真っ直ぐ応接室に向かっていた。
今日は転校生が来るみたい。
男だったら私のもので、女だったら完全に私の奴隷、私の道具ね。
あっ、先生が入ってきたわ。
教師「入れ。」
ラウ『黒雛ラウ。イタリアから日本に来て、並盛に住むことになった。…よろしく。』
ガラガラと扉を開けて入ってきたのは、格好いい男だった。
決定、コイツは私が一番最初に暁が告白する!!
私に落とせない男は世界に一人も居ないんだからっ。
まずは挨拶して彼に近付かないと!!
暁「ラウ君、あたしぃ、風渓暁。暁って呼んでね♪」
ラウ『…よろしく。』
やった!!好印象かもぉ。
でも、なんでかな…?
さっきから、ラウ君、あの笹川京子のこと見てる気がする…。
でも大丈夫!!
だってあたしぃ、学校のアイドルだもぉん。
あんな娘、誰も信用しないんだからぁ。
休み時間になる、なったら私が一番最初に声掛けてアゲル♪
暁「あのぅ…ラウくn」
ラウ『京子、来いっ!!』
なっ、なんでぇ!?
なんで、あの笹川京子を!?
ま、まさかラウ君笹川京子に一目惚れぇ!?
そんな筈無い、もしそうであるのなら絶対振り向かせてあげる!!
笹川京子…!!覚えてなさいっ!!
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