零崎刹識の人間刹那 | ナノ

第五章






教室に戻ると事件が起きていた。
目の前にいたのは、顔に血が付いた空識と崩子(なんで俺達の教室にいるんだよ)と蜘蛛織を守るように抱いている京織。
崩子と蜘蛛織に何が起こってるかはわからないが4人の前にいるのは、危険な刃物を持った獄寺隼人と金属バットを持った山本武だった。
俺は気づかれないうちに隠れ、今この状況を判断するために聞き耳を立てた。


獄寺「てめぇら、なんで黒雛と関わってんだよ?」
京織「……。」
山本「知らねぇのな?黒雛っていう名前はな、呪われてるんだよ」
空識「……。」
獄寺「関わったからこんなんなったんだぜ?恨むなら黒雛を恨みな」


こんなん?
崩子と蜘蛛織に何をやったんだ?




山本「血がいっぱい出てるな。いつ死んでもおかしくねぇよな」


何!?
じゃあ、あの刃物や金属バットで!?
許せねぇ…

許せねぇ!!


今、刹識が苦しんでるんだ。
俺がやんねぇと。
家賊に手ぇ出したら――皆殺しだ


空識「やっちゃったね、獄寺くん。山本」


空識はそう言う。
勿論二人は首を傾げているだけ。


京織「一番怒らせちゃいけない人を怒らせちゃったみたいだね」


そう言ってあいつ等は目を見開いた。
今まで居なかった場所に忽然と目の前に姿を現した俺。
多分俺は相当恐いだろう。


裏社会なんざの小僧が出しゃばりやがって。
裏社会のよりも裏世界の奴の方がよっぽどくるからな。


人識「これ以上やったら」


静かに呟く。
怒りは猛烈だが、ゆっくりと目の前に出したのは以前刹織から貰った武器。


エリミネーター・3号


何故3号かというと大きさ的にだ。


人識「俺がお前等を」


殺して解して並べて揃えて晒してやんよ――



そう言うと2人は顔を真っ青にして崩れ落ちた。
本当の殺気をその身に浴びたんだ、暫くは俺の前で立てないと思った。
そん時だった。


華雅「隼人、武くん!!」


教室に入ってきたのは俺達の大切な弟妹に手を出して、刹織を苦しめている張本人様――華雅椿姫だった。
二人に少し近づいて。


華雅「二人とも行くよ!!」


って俺等の前を素通りすると思ったが、それは間違いだった。


華雅「ざまぁ無いわね」




人識「っ!?」


通り過ぎていくときに華雅は確かに吐いた。
ざまぁ無いわね、と。
色々と怒りが頂点に達したが、今は崩子と蜘蛛織が心配だった。


人識「崩子、蜘蛛織!!」


駆け寄ると肩を少し切られた崩子と首の下――丁度鎖骨の辺りを少し深めに切られ、肩を強打された蜘蛛織が京織に抱かれていた。


京織「どうしよう、どうしよう…!!二人が…っ!!」


二人を抱く京織の手は震えていた。
涙に濡れていた。
どうすりゃいいんだよ、このままじゃ、二人がっ……!!


「馬鹿!!避けろっ!!」


そうやってきたのは、刹織だった。









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