イケメン教師

「なまえ....」
『ねぇねぇ、後ろの髪おかしくない?変じゃない?』
「大丈夫大丈夫。」
『もう!麻美ったらいい加減!待ちに待った土方先生の授業なんだもん。可愛くしなきゃ。』
高校生の女子トイレは休み時間になると、髪を整える女子生徒たちで賑わっている。


なまえのクラスの次の時間は土方先生の初めての国語の授業が待っていた。
「それよりなまえのその髪って地毛なの?」
『うん。色はそうだけどウェーブはこの前ゆるいパーマあてたの。』
なまえの髪型は長く、暗めの茶色にゆるいウェーブがかかっている。
本人はあまり顔に自信はないが、顔も整っていて美人か可愛いかに分けると可愛い側だ。
男にモテないはずがないが、女子高育ちでよく男の人というものを分かっていないなまえは生まれてこのかた彼氏はいない。
『にしてここの校則が緩くて良かった!制服もこうしてお洒落出来るし。』
薄桜鬼学園は勉強をしていればいいというモットーなので、校則は特になく、制服も指定のスカートを履き、指定のネクタイかリボンをしていれば良いとの事でごくわずかな人間はアレンジしていたりする。
お洒落が好きななまえも勿論アレンジしていて、襟元に花のフリルがあしらわれた上品なブラウスを来て、耳にはパールのピアスをつけている。

「ほら、予鈴なったから行くよ。」
なまえは緊張で鼓動がうるさい胸を押さえながら、麻美に引きずられていく。

教室に着くと、なまえは再び手鏡を取り出して確認すると、ポケットにしまい教科書を取り出す。
「何だぁ?お前土方先生みたいなのがタイプなのか?」
『うん!』
「女子はああいうの好きだよなぁ...。ってもあの人女に関しては節操ねえぞ?」
『それでもいいの!別に彼女になろうだなんて思ってないし、それはそれだよ〜。』
「ふーん。」
藤堂がさらに何か言いかけたところで教室に土方が入ってくる。
一昨日の入学式ぶりに見て、さらに今までで一番近い距離にいる土方になまえは顔を赤くして顔を伏せる。

(なまえってば...)
隣で麻美はそんななまえを見て呆れていた。

「このクラスの国語担当の土方だ。知っているものもいるとは思うが剣道部の顧問もしている。...ちなみに俺のいる部屋はこの校舎の反対側の塔の3階の国語準備室だ。何かあったらここへ来るように。もし提出物がある場合は他の教科と同じように国語準備室の前に箱が置いてあるからそこに入れておけ。...でだ、ここの国語係は誰だ。」
「先生、まだ係は決めておらずおそらく今日の5限になるのですが...」
クラスの学級長が発言した後、しばらく土方は考え込み、藤堂の机に向かう。
「平助、お前がやれ。」
「え?!」
なまえは後ろで緊張のあまり体を震わせていた。
(藤堂君、うらやましー!っていうか近いよー!)
「いやいや、土方さ..先生!俺部活してるし係にはもともと付かねえつもりだったし...」
「お前が剣道部だからだ。その方が俺も都合がいい。あともう一人は...「分かった!やるからもう一人はこいつにしてくれ!」...。」
藤堂はなまえの方に振り返り、指を指す。
『...ええ?!』
周りの女子からは藤堂と土方と関われる役職に羨望のまなざしを受ける。
なまえは顔を真っ赤にして前髪を抑えるふりをして顔を隠す。

「....お前、名前は。」
『は、はいっ。みょうじなまえです!』
「みょうじと平助、お前ら国語係で決定だな。この授業の次は昼休みだから飯食ったら、国語準備室に来い。」
「早速かよ!」

土方先生が前に戻ったのを確認して、すぐに右隣の麻美に助けを求めるがよかったじゃんとか口パクで言っているけど、よかったじゃんじゃないよー!
あたしは陰ながら土方先生を見ていたかったのに!
それに国語係なんて受けちゃったら、失敗したら嫌われちゃうよ〜!
藤堂君の馬鹿ー!

fin


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