始まり


「あ!剣道部の皆だよ!」
「かっこいい〜、あたしはやっぱり沖田君!」
「えー、どう考えても原田先生だよ!」

薄桜学園の剣道部は女子に大変人気である。
勿論その理由はやはり顧問、生徒の容姿。

そんなあたしにも憧れの人がいる。
顧問の土方先生。
先生の立場である男の人と恋したいとは思わないけど、やっぱりあたしの学校生活に潤いを与えてくれている大事な存在。

私の地元から近い高校は女子高が二校、バカな共学三校、それか隣県にある偏差値の高い共学の薄桜鬼学園。
あたしは勿論薄桜鬼学園を選び、一生懸命勉強して入学することを果たした。

「つまりなまえは恋したさにこの学校を選んだわけね。」
『そんなことないもん!女子オンリー生活には飽きたし、彼氏作るなら頭いい人がいいもん!』
目の前にいる女の子はこの学園で5本の指に入る優秀な桜木麻美。
麻美に言われるとなんだか罪悪感も感じたり。
入学式は昨日あったばかりで、麻美はあたしの前に立っていて、入学式の最中はずっと話していた。
あたしと麻美は性格がまるで反対だけど、変なところ合うところがあったり。


「で、このクラスに早速イケメンはいましたか、みょうじさん。」
『んーん、それがいないの。っていうかやっぱりあたしは土方先生がいい!オープンキャンパスの時に先生を見た時、本当にときめいちゃった!』
「そうですか〜。ま、よかったじゃん。このクラスの国語担当が土方先生で。」
『本当にそれ!ラッキーだよ。こんなに先生もクラスもあるのに!もしかしたらあたしと先生が「ないない。」冷たいよ、麻美!』
2人でそう話していると、教卓にはいつの間にか担任の折井先生が立っていて、騒がしい教室が先生の喝によって静かになる。

「じゃー今から出席確認する「セーフ!!」....。」
教室に飛び込んできたのは小柄で明るめな美少年。
急な登場にクラス全員目を丸くする。
「..お前が藤堂か。初日から休みやがった問題児は。お前の席はあそこだ。」
そう言って、藤堂はなまえの席の前に座る。

朝礼が終わると、一時間目の準備までの10分間の休みにまた周りが騒ぎだす。
「なあ、この次の授業って何?俺、昨日休んでたから時間割知らないんだよな。」
『えっと...1時間目は英語だよ。で、その後は数学で...ちょっと待ってね。今から書いて渡すから。多分時間割は明日には前に張り出されるとは思うんだけど...』
なまえは大き目の付箋を取り出して、ペンで書き始めるとその手をゴツゴツした藤堂の手で制される。
「いいよ、そんな丁寧に!俺が写真撮るから!」
『そう?...それなら。』
なまえは時間割の書いたプリントを渡す。
「さんきゅー。」
目の前の藤堂君は嬉しそうな笑顔を浮かべながら写真を撮っている。
なんだか犬みたい、となまえは口に手をあてて笑う。
「...何笑ってんだよ。」
『ううん、別に。ね、それより何かスポーツしてるの?手が豆だらけだから。』
「おう!俺は剣道やってんだ。」
『剣道部って...イケメンばかりいるって噂だけど..本当にその通りだね。』
なまえは笑いながらプリントを受け取る。
「なっ...」
『え?』
なまえは藤堂の顔を見ると、耳まで真っ赤でその後教室を出て行った。

『え、何かあたしマズイこと言ったかなぁ?』
「照れてるだけじゃん?それより、あんた藤堂君に惚れたの?なかなか美少年じゃん。」
『えー?確かに藤堂君はかっこいいとは思うけどあたしは年上好きなの!なんだか藤堂君って彼氏にするって言うか..ペットみたい。』
「あんたがそれを言うか。」

その後、授業が始まって10分後に藤堂君は何食わぬ顔で教室に戻って来た。

fin


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