俺は寝れなかった。
曲を作れない、詩も思い浮かばない。
そして一晩寝たら、また、式が近づいてしまうから。
今日も式が来ないことを祈り、朝を迎える。
俺はいつから、こんなに弱くなってしまったのだろうか。
時には彼女が憎くなった。
俺の気持ちを全く気が付かない、という事を。
それは今も思う。
なんで、
なんで、
よりによって俺に伴奏を頼むんだろう。
君が好きな人と、一生を誓う瞬間を、俺のピアノで送る、なんて。
どうか、彼の手を、とらないでほしい。
最後の最後で、欲が出てきてしまった。
fin.
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bkm