10. いつもと違う君


最近、真ちゃんがすごくかっこよく見える。
何でだろう、ダメだよね。
恋人が遠くにいるからって、近くの人に目移りしちゃ、ねー。
こんなんバレたら征十郎に怒られる。
おーこわ。

そう思いながらも目の前の真ちゃんは本当にかっこいい。
勿論、宮地先輩達もイケメンだが、真ちゃんのかっこよさには敵わない、と思うなー。

あ、試合勝った。
ダブルスコアで圧勝。

私は真ちゃんに抱きついた。

「俺はー?」と高尾くんが言ってたけども無視無視。


『..かっこよかったよ?』

「......ああ。」
真ちゃんの腕が私の頭を優しくなでる。

あーこれ好き。

そしてふと視線を感じ、周りを見渡すと、出口の所に、まさかの征十郎くんがいた。

え、

私はすぐに真ちゃんから離れた。
征十郎は笑っているが、あれは、悪魔の笑み、だ。
何度か見たことがあるが、あの笑みには慣れない。

私は先輩たちのなくなったドリンクを受け取り、出口に走った。


『..征十郎、来てくれるなら言ってよね!』

「僕に命令するつもり?」

あ、これめっちゃ怒ってらっしゃる。

「ちょっと来て。」

そう言い、私の腕を強く握り、引っ張られた。
そして連れてこられたのは出口のすぐ横にある、男子トイレ。

まじか、初めてなんですけど、男子トイレ入るの。

『あの、赤司様、男子トイレとか、さす、がにまず「黙れよ」』


そう言い、私を壁に押し付け、キスをした。

『んっ、ちょ、征..、ここ、誰か来るし..』

「見せつけてあげればいいんだ。」

とまた深い口づけ。

そして誰かがトイレに入ってたらしく、私たちを見ると、そそくさと手を洗い出て行った。
さらにがやがやと声が、廊下から聞こえる。

やばい、絶対秀徳だよね、高尾くんの声ですぐに分かった。

「俺、トイレ行ってきます〜」

「あ、俺も」

待て待て待て。宮地先輩と高尾くん、待て待て。

そして唇が離れる。

「余計なこと、考えている暇なんてないよ。」
といい、また深いキスをされる。

『んっ..はっ...』

そして二人が来た。


「あ〜、今日の試合...えっなまえ!」

「高尾、どうし..」

見られた!

それでも征十郎はやめない。

「なまえがいるのか?」と真ちゃんの声がした。

私はその瞬間、征十郎の足を思いっきり踏んで、その隙に離れて、トイレの個室に入った。

「...赤司。」

「くっ..やぁ。」

「何をしているのだ?」

「いや、何も。」

「そうか、あれ、高尾、トイレいかないのか?」

「あっああ、もうしたし、いーや。戻ろ戻ろ」

「そうか」といい、秀徳の皆は出ていった。

出て行ったことはいい、しかし、私は思いっきり征十郎の足を踏みつけた。
出て行けば殺される、しかしでなきゃまずい。いつまでもここにいては。

そう意を決し、出ると征十郎が黒い笑みで仁王立ちに立っている。


ああ、まずいこれはまずい。

「何してるの?早く出てきなよ。」

『はい...』

「ねぇ、ここでヤる?」

『は?!ナニを?!』

「うん、だからナニを。」

何を言い出すんだ、征十郎くんや。
それだけは断固拒否しなければならない。

『勘弁してください!しかも!初体験がここ、とか絶対嫌だ!』
そう、私と征十郎は付き合って長いが、そっちはまだ、なのだ。

「どこだっていいいだろ。」

『いやいやいや!!!』

そうも言いながら征十郎は私の元にやってきて、私をトイレに押し込める。
そしてあたふたしていたら、征十郎にきつく、抱きしめられた。

『征っ.「なまえ、僕は君がどこかに行っちゃいそうで凄く怖い。...ずっと俺のそばににいてくるよな..?」

がらにもなく征十郎は細い声で私に言った。

私は抱きしめ返して
『...当たり前じゃない。結婚するつもりでいるんだけど、だめ?』

「ふっ..なまえのくせに生意気だ。」



結局、そのあと、私は愛されました。

どこって?勿論トイレじは却下して、体育館の倉庫。
それでも、私はすごく幸せを感じた。

違う人に目移りしてごめんなさい。

私はやっぱり赤司征十郎っていう人間から逃れられないみたい。


fin.




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