韓流ファンなんだ

観察をしなくなった私は非常に暇だった。
朝も8時半ギリギリに学校に着き、授業を受け、放課後は授業が終わったらさっさと帰宅。
美月は一応、テニス部に入っているために私と遊ぶ時間なんて、めったにないのだ。

そして私はいいことを思いついた。

それは、バスケ部が終わる時間あたりまで教室で自主学習をし、帰りにバッタリ彼らと遭遇という、事だ。

思い立った私は早速、美月のクラスに行き、バスケ部のおよその終了時刻を聞きに行った。

どうやら普通の運動部は6時までに帰宅、という決まりであるそうだが、バスケ部は全中制覇という好成績があることから、9時までOKならしい。

何それ、無理じゃないか。
私は断念して自分のクラスに引き返そうとすると、向こうから赤司様が見えた。
どうやら告白されているらしい。
廊下のど真ん中で。

うほっと思いながら後ろを通り過ぎようとしながら聞き耳をたてた。

「赤司くん、あの、好きなんだけど、その付き合って「無理。消えてくれないかな」...えっ」

私は動揺した。
それは赤司様の低音ボイスと罵られる、というシチュエーションに。
勝手に脳内変換して、ニヤニヤしながら通り過ぎようとしたんだ。

するとガッと赤司様は私の腕をつかんだ。

「何、ニヤニヤしてるの?」

あ、油断してしまった。

そして告白している女の子は私をにらんでいる。


『ああああ赤司くん。おはよう。』
私は頭をフル回転させて思いつき、自分の携帯を出し、メールの受信フォルダを開き、赤司様の目の前に携帯を見せた。

『これ、見て。東方神●のコンサートが当たってね、倍率50倍だったんだよね。まぁ、久しぶりの来日公演だし。うん、しかも新潟なんだ。2月。寒いよね。でもね、プレミアム席って言ってね、アリーナ席確定なんだ』
と悟られないようにぺらぺらと話す口。
バスケ部のミーハーってばれるより、韓流ファン、ってばれる方がまだマシ、だ。

「........そう。」

『うん、そうなんだ....。それでは。』

「ああ、俺も緑間に用があったから」

そう言い、赤司様は私の前を歩く。

『え、あれ、女の子、いいの?』

「もう用はないだろ」

『そう。』

赤司様の低音ボイス再び頂いたー!//



今度は赤司様が見ていない事を確認し、ニヤリとほくそ笑んだ私だった。

fin.


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